死因4位「脳卒中」治療の深刻すぎる地域格差 住む地域によって助かる可能性に大差がある

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治療が早ければ早いほど重症化のリスクが避けられる(写真:Ridofranz/iStock)

蒸し暑い日が続くようになると、脱水を引き金にした脳卒中が起こりやすくなる。

汗をかいて体の水分や塩分などの電解質が不足すると、ドロドロになった血液が血管を詰まらせてしまう。詰まった先の血管につながる脳細胞は、やがて壊死してしまう。「脳梗塞」と呼ばれるこのタイプは、脳卒中全体の4分の3程度を占めている。

脳卒中は日本人の死亡原因の4位であり、寝たきりになる直接的な原因としては長年、1位に君臨し続けている。しかし、脳卒中の治療に深刻な地域格差があることは、一般にはあまり知られていない。

脳梗塞の治療法施行率に4倍もの格差

脳卒中は、血管が詰まる「脳梗塞」と、血管が破れて出血する「脳出血」「クモ膜下出血」に⼤別できる。

最初にCTを撮影し、専門医の判断で適応条件が満たされる「脳梗塞」と判断されれば、詰まっている血の塊を溶かす薬(アルテプラーゼ)を静脈内に点滴する治療法(t-PA静注療法)が行われる。t-PA静注療法ですぐ対処すれば、寝たきりにならず、退院後自分の足で歩いて帰れる可能性が高まる。

しかし、t-PA静注療法が2005年に承認された後に行われた全国調査では、都道府県の施行率に4倍もの格差が存在したことが明らかになった。

手術や救急などの一般的な医療を地域で完結することを目指す「2次医療圏」のうち、44医療圏(13%)がt-PA静注療法を1例も行ったことがないこともわかった。

それ以降も実施率はほとんど増えず、約5%でとどまっている。こうした格差は同じ都道府県内でも深刻であり、現在も解消されていない。

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