時代を生き抜くカギは「感性と論理」の融合だ 芸術の背後に潜む数学から「創造性」を学ぼう
数学は、音楽や芸術の背後に隠れていることが多い。
西洋では長らく、代数学、音楽、幾何学、天文学は4大学問として同じように扱われてきた。音楽や芸術と数学という一見異なる2つの世界を結ぶものは何だろうか。
21世紀という変化が激しい時代、老若男女に「創造性」や「成長マインドセット」が大切といわれる時代において、私たちはどんな力を鍛えていけばいいのだろうか。
音楽・芸術の背後にある数学の例を眺めながら考えてみたい。
バッハ、エッシャー、北斎の作品に潜む数学
大作曲家バッハの楽曲には、譜面の左右対称、上下対称、点対称、平行移動などを自由に音楽的・有機的に組み合わせ、まるで建築のような美しい構造が音楽の神秘・美を生み出しているものが多数存在する。
たとえば、『蟹のカノン』を一人が冒頭から楽譜を読み、もう一人が最後からさかのぼって楽譜を読んで同時に演奏すると、バッハらしい、美しい音楽が生まれる。
だまし絵などで有名なオランダの画家、エッシャーの「繰り返し模様」を使った不思議な絵たちの背後にも、バッハと似た「対称性」の秘密が眠っている。
江戸時代に躍動的な絵を残した画家、葛飾北斎。その独特な個性、美を生み出すための仕掛けの背後にも、数学的な秘密が潜んでいたことがわかっている。
北斎の代表作『冨嶽三十六景《神奈川沖浪裏》』の背後には複雑な作図があり、人々が大きくうねる波の動きを目で追うと、その先に遠くの富士山の頂上が自然と見える、という絶妙な仕掛けだ。
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