時代を生き抜くカギは「感性と論理」の融合だ 芸術の背後に潜む数学から「創造性」を学ぼう
架空のアーティスト「初音ミク」を生んだボーカロイド(略してボカロ)や、シンセサイザーなどのデジタル楽器も、実は数学が支えている。
高校数学の三角関数に登場するサイン(sin)。その名を冠する「サイン波」と呼ばれる空気の波が複雑に足し合わせられ、音は生まれている。私たちの身の回りにあふれた音楽や声など、世界の音を構成する「音の原子」は、実はサイン波なのだ。
どんなサイン波がどの程度混じり合って音が作られているかさえわかれば、原理上はその音を別の場所でも作り出せる。この技術が応用されているのが、現代のデジタル楽器だ。
こうした発明は、音楽世界の可能性をダイナミックに広げてきた。
「数学とは情緒の学問である」
さまざまな芸術の背後には、こっそり数学・科学からのインスピレーションやアイデアがある。逆もしかりだ。
数学も究極は創造の世界であるため、感性や情緒は極めて大切になる。論理一辺倒では、何か大切なものに気づく情緒が生まれず、いまだ人類が見えぬ世界に到達できない。
そのために、数学者は感性や情緒の研磨を大切にする。数学者の岡潔は、「論理も計算もない数学をやってみたい」「数学とは情緒の学問である」と述べた。
同様に、音楽ではスランプに陥ったときには、一度、自分自身や自分が好きな音楽家の作品を見つめ直し、抽象化・構造化してとらえ直す、論理的なメタ思考が重要になる。アインシュタインの相対性理論のように、論理が感性や先入観を自由に飛び越えていくこともある。
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