そこで、「最初のビジネスリュックを選ぶときの注意点」を、松屋銀座の紳士部バイヤー・浅尾浩代さん、同紳士雑貨係の土屋宗大さんに聞いた。ふたりの話を参考に、5つのポイントをピックアップしてみた。
素材の定番は、やはり軽く丈夫なナイロンだ。レザー製のリュックもあるが、比較的重いうえに、雨にも弱いという特性がある。最初のひとつを選ぶなら、ナイロン製が無難だろう。
ただし「ナイロン製」といっても千差万別だ。「バリスティックナイロン」という、防弾チョッキの素材としても知られる、太め糸で編まれた分厚い生地もあれば、細い糸で編まれた薄手ナイロンもある。個人的には文字通り“バリバリ”のバリスティックナイロンを勧めたいが、土屋さんは「最初のひとつとして選ぶなら、きめ細かなナイロンのほうをお勧めします」と指摘する。
「太め糸で編んだ厚手のナイロンのほうが丈夫ですが、どうしても重さが出る。また生地に凹凸も出て、見た目のカジュアル感も強くなってしまうんです。一方、細い糸で編んだ薄手のナイロンは光沢も出て、高級感も出ますからね。どんな場所にも持っていきやすいという意味では、やはりきちんと感の強まる薄手タイプを選んだほうがいい」(土屋さん)
黒かネイビーならビジネスシーンになじむ
カジュアル度を抑える意味では、色選びも重要だ。結論からいえば黒やネイビーといったダークカラーがシックに見えて、ビジネスシーンでも浮くことはない。さらに、服とのコーディネートにも悩まずにすむので、使い回しという意味でも間違いないだろう。
逆にいえば、赤やグリーン、鮮やかなブルーなど、ナイロン素材のリュックで明るめの色を選ぶと、途端にアウトドア感が漂ってしまう。「『霞が関に行く』を『霞ヶ浦に行く』と勘違いでもしたのか」と、先輩にまたまた突っこまれそうだ。
もちろん、ファッション業界の上級者が「ハズし」テクニックとして、テーラードスーツにカジュアルなリュックを合わせることもある。しかしそれは、サッカーでいえばイニエスタ級のレベルが高い着こなしだ。楽天などのネット通販で探すにしても、黒やネイビーなどにしておこう。
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