取引先への苦情が苦手な人に欠けている視点 憂さ晴らしに過ぎないクレームは無意味だ

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文中で「以後も納期遅れが発生したら取り引き停止」とありますが、全体が軽い文章であるために脅しとしては弱くなっています。

文章ひとつで相手に一目置かせる技術

丁寧な文章には自分を抑え、冷静さを取り戻させる働きがあります。クレームは怒りのはけ口ではありませんから、言葉使いは丁寧さを心がけるべきです。また、クレームは優越感を満足させるためのものでもありませんので、相手の人格、誇りを否定することはご法度です。またクレームは、自分自身の自己重要感を確認するための手段でもないですから、相手を軽視するような表現は禁物、相手を尊重する姿勢を崩さないことを基本としなければいけません。そこで文例3です。

文例3
この3カ月間で貴社の納期遅れが7回発生しました。
これまでのお付き合いではなかったことで、貴社の技術と誠実さを高く評価し、信頼していた私どもとしては意外でなりません。
貴社社内では、すでに改善の取り組みをなさっていることと存じますので、まずはその結果に期待をしておりますが、私どもも弊社クライアントに対する責任がございますので、可能な限り問題解決に向けて協力を惜しまない所存です。
私どもでご協力できることがございましたら、差し支えない範囲でご相談いただければと思います。

文例3では相手を尊重し、できるだけ面目を立てることに配慮しています。納期遅れが生じる背景は、大体、仕事量の急増か人手不足です。多くは、大口の顧客を優先し既存の中小顧客を後回しとしたことで起きたものです。怒りに任せて優先順位を上げろと叫んでみても、大口優先の事情は変わりませんから、安定的な改善は望めません。

解決のためには、設備投資によって生産力を上げる方法がありますが、すぐにはできません。短期間で安定的な改善を行なうためには、こちらの生産計画を見直す、一部仕入れ品の仕様を変更するなど、発注者の協力が必要なケースもあります。

こうした冷静で踏み込んだ手段を含んだ文書であってこそ、はじめて文書特有の重みが発揮されるというものです。自社と自社のクライアント、それに外注先の「三方よし」を目指す姿勢を文章へにじませることで、外注先に「この会社は侮れないな」と一目置かせる効果が生まれます。

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アルファポリスビジネス編集部

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