忙しすぎる日本人が知らない「疲労」の4条件

スタンフォードの一流選手は回復を重視する

つまり、「睡眠不足の選手の脳」と「脳震盪を起こした選手の脳」は似た状態ということなのです。疲労を我慢して寝不足で頑張っても、生産性は上がるべくもありません。

疲れがたまった結果生じる“症状“は人それぞれですが、典型的なものの1つに体が硬くなって関節の可動域が狭くなる「硬化」があります。

メジャーリーグ入りが有力視されている、野球部のある先発ピッチャーは疲れがたまった体についてこう語ってくれました。

「疲れがたまってくると、まず股関節の動きがいま一つになって体重移動がしっくりこなくなります。上半身もうまく回転しないので腕も振れず、早い回でボールに勢いがなくなります。そして、3回を超えたあたりから、明らかに球速が落ちます」

反対に疲れを感じなければ、「重心がぶれることなく腕を振ることができ、確実に100球前後まで投げられる」とのことです。

見えない疲労を「脈拍」で可視化する

このように、さまざまな角度で「パフォーマンスを低下」させる疲労。

「疲れ」は主観的な要素が強く、また本人も軽視しがちなので対処しづらい難敵です。しかし、手を打たなければ選手の体にダメージが残ったまま練習や試合を続けることになり、ケガにつながるリスクが増大します。

そこで、疲れているかどうかを判断するため、私たちは選手の脈拍と血圧を練習前・練習後などに常時測って「ベースライン」を把握しています。そして、ベースラインと比較して脈や血圧が変動していれば、「疲れのサイン」と見るようにしています。

水泳チームの2年生のある女子選手は、練習後、「脈が早くなったまま落ち着かない」と相談に来ました。

水泳はとてもハードなスポーツで、毎日8000〜1万2000メートル近く泳ぎます。練習中は脈が確かに早くなるのですが、プールから上がってしばらくすると通常なら脈は落ち着きます。

しかし、この時期はテスト直前ということもあり、疲れが体に蓄積。その結果、脈拍が落ち着かなかったのです。

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