忙しすぎる日本人が知らない「疲労」の4条件 スタンフォードの一流選手は回復を重視する

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一般の人の安静時の脈拍は70〜80程度。もし、正確にベースラインを把握したいのであれば、安静時、手首に反対側の手の人差し指と中指を当て、15秒間、脈を計測してください。それを4倍した数が、その人の脈のベースラインです。

激しく動いてしばらく経っても脈が落ち着かなかったり、安静時でも脈拍が早かったりしたときは、疲れがたまっていると判断することができます。

スポーツ医局が定義する「疲労状態にある4条件」

目に見えない疲労を客観的につかむため、スポーツ医局では「疲れている条件」として、先の脈拍を含めて次の4つを挙げています。

① 「脈拍」がいつもと違う
② 「就寝時間」「起床時間」が定まっていない
③ 体の要「腰」が痛い
④ 胸で浅い呼吸をしている
『スタンフォード式 疲れない体』(サンマーク出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

③と④の状態になると、体のバランスが崩れ、余計な負荷が体に生じます。ですので、この状態になれば選手の練習量は抑えつつ、反対に回復メニューの割合を増やしていくのです。

スポーツ医局ではこれらの4つの状態が選手に見られたとき、「疲労がたまっている」と判断して練習量を落とすなどの対策を徹底して取るようにしています。

それは、練習量を下げてでも回復や疲労予防を優先したほうが、最終的に発揮できるパフォーマンスは高くなり、成績にも直結することを数々の「敗北」から学んでいるからにほかなりません。

がむしゃらに頑張るだけでなく、体が休息を求めているときは勇気を出してペースを落とす姿勢が、自分レベルで100%の力を発揮するには欠かせないのです。

山田 知生 スタンフォード大学スポーツ医局アソシエイトディレクター

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やまだ ともお / Tomoo Yamada

1966年、東京都出身。24歳までプロスキーヤーとして活動した後、26歳でアメリカ・ブリッジウォーター州立大学に留学し、アスレチックトレーニングを学ぶ。同大学卒業後、サンノゼ州立大学大学院でスポーツ医学とスポーツマネジメントの修士号を取得。2000年サンタクララ大学にてアスレチックトレーナーとしてのキャリアをスタートさせ、2002年秋にスタンフォード大学のアスレチックトレーナーに就任する。スタンフォード大学スポーツ医局にて15年以上の臨床経験を持ち、同大学のアスレチックトレーナーとして最も長く在籍している。

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