忙しすぎる日本人が知らない「疲労」の4条件 スタンフォードの一流選手は回復を重視する
回復に最適な空間を作り上げるべく、選手が治療に訪れるメンテナンスルームには常時23人のスタッフが勤務。24台のベッドがあり、治癒用の冷水・温水バスタブを備えた「リカバリー空間」で選手のダメージ除去に努めます。
世界一を目指す以上、激しいトレーニングも必要ですが、「回復」がままならなければトレーニングの成果を最大限に生かすことはできません。
なかでも重視するのが「疲労の予防と回復」です。なぜなら、疲れは練習をする以上避けて通れない身近な存在であるにもかかわらず、疲労があると「選手がパフォーマンスを最大限発揮できない」「試合に勝てない」ことに加え、選手とトレーナーが最も避けたい「ケガ」の遠因にもなるからです。
また、スタンフォードの場合、アスリートだからといって学業の成績が免除になることはいっさいありません。勉強とスポーツを高いレベルで両立させねばならず、そのためにはちょっとした疲労でもためるわけにはいかないのです。
「小さな疲れ」を甘く見ず、疲労に徹底的に対処する――このアプローチが、世界最強といわれるスタンフォードのスポーツチームを支えているといっても過言ではありません。
働きすぎて死ぬ国「日本」
2017年、アメリカのニュース番組ではしきりに「日本のKaroshi」について報じられました。英語では「過労死」に当たる概念が存在しないため、日本語がそのまま「Karoshi」という英単語になっているのです。
さまざまなデータを見ていると、日本は世界の中でも特に「疲労人口が多い」現状が見受けられます。
2015年の総務省の労働力調査によると、働く日本人の20.8%、男性だけに限れば30%が、1週間に49時間以上働く「長時間労働者」ですが、アメリカは16.4%、ドイツは9.6%、デンマークは8.4%ですから、世界的に見て「日本人は働きすぎ」といえるでしょう。
また、「一人当たり平均年間総実労働時間(就業者)」で見ても、日本は1719時間と、アメリカの1790時間に次ぐ数字。ドイツは1371時間、フランスは1482時間、デンマークは1457時間となっています。
アメリカも日本と同じく長時間労働のように見えますが、「アメリカ=長時間労働で高生産」「日本=長時間労働で低生産」という違いが指摘されていて、長時間労働によるダメージが日本の労働生産力に大きく響いている様子が伺えます。
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