スーパーゼネコン清水建設と大成建設を分析 東京五輪の経済効果は、本当に大きいのか!?

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ただ、一部の業界にはメリットがあると思います。特に恩恵を受けると思われるところは、建設業界。特にスーパーゼネコンと呼ばれる建設大手企業です。そこで今回は、清水建設と大成建設の決算書を分析してみたいと思います。

まずは、2社の全体的な資産規模と収益性を比較してみます。2013年3月期の決算書を見てください。

清水建設の損益計算書を見ますと、「売上高合計」は1兆3361億円から1兆4160億円と、少し伸びています。ところが「売上原価合計」は1兆2495億円から1兆3330億円まで増えてしまったことで、「営業利益」は175億円から131億円まで減少となりました。清水建設の損益計算書10ページを参照

一方、大成建設も見ていきますと、「売上高合計」は1兆3235億円から1兆4164億円へと増加。「売上原価」も1兆2060億円から1兆3046億円に増えてしまったことから、「営業利益」は364億円から356億円と微減しています。
→大成建設の損益計算書12ページを参照

これらの数字から、2社の売上高と売上原価の規模は、非常によく似ていることがわかります。しかし、酷似しているのはこれだけではありません。

貸借対照表から、それぞれの「資産合計」を見ますと、清水建設は1兆4564億円、大成建設は1兆5430億円ですから、2社はほぼ同等の資産規模であることがわかります。

さらに、会社の中長期的な安全性を示す「自己資本比率(純資産÷資産)」を計算しますと、清水建設は24.6%、大成建設は22.2%。社債や借入金などの有利子負債の金額を合計しますと、清水建設は3670億円、大成建設は3790億円と、ほぼ同じです。スーパーゼネコン2社は、売上高だけでなくバランスシートも非常によく似ているのです。→清水建設の貸借対照表8~9ページ参照)、(→大成建設の貸借対照表10~11ページ参照

次に、直近の2014年3月期第1四半期の決算を分析してみます。

清水建設の損益計算書を見ますと、「売上高合計」は2736億円から3061億円まで増加しています。その一方で、「売上原価合計」は2544億円から2858億円まで増えてしまいましたが、「営業利益」は27億円から39億円まで伸びました。→清水建設の損益計算書6ページを参照

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