五輪をきっかけに、東京一極集中が加速するおそれも
お台場周辺の東京臨海副都心は、バブル景気絶頂期の1989年から開発が始まりました。当初はオフィス街として開発される予定でしたが、1990年からのバブル崩壊によって企業からのキャンセルが相次ぎ、開発計画が頓挫してしまったという経緯があります。
1990年に鈴木都知事(当時)が開発事業を推進し、フジテレビが移転したり、マンションなどの建築物が増え始めましたが、結局はそれほど大きく発展することはありませんでした。
そこで東京都としては、東京五輪を契機に東京臨海副都心の土地を活用したいと考えています。今のところ、選手村が建設される予定になっていますが、五輪閉会後は分譲マンションとして販売される計画があります。
利便性の比較的いい地域なので、価格にもよりますがそのマンションは人気が出るかもしれません。さらに、交通網の整備やバリアフリー化が進み、また、このように住宅整備を進めることで、東京一極集中がより加速するのではないかという懸念もあるのです。都内の地下鉄の一部が24時間運行する計画もあります。東京はさらに住みやすくなるのです。
2020年にはパラリンピックも開催されますから、東京でバリアフリー化が進められる可能性があります。ただでさえ、東京は情報やモノやサービスが豊富ですから、特に高齢者にとっては、今まで以上に住みやすい街になるわけです。
日本国内では高齢化が進んでいますから、東京に移住しようと考える高齢者が増える可能性があります。すると、余計に地方は疲弊してしまうおそれがあるのです。
もちろん、東京でバリアフリー化が進められることは悪いことではありませんが、東京五輪開催ばかりに集中せず、日本全体の経済を見渡して考えなければなりません。
五輪開催は確かに喜ばしいことですが、それだけで経済が再生できるほど、日本の経済規模は小さくないのです。東京五輪に期待しすぎず、日本経済の足腰を強くするためには何が必要なのか。政府はそれに対して何をすべきなのか。大胆な規制緩和や有望分野への集中投資などの、本物の「成長戦略」が必要なことは言うまでもありません。私たちはそこに注意を払わなければなりません。
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