コンビニ外国人店員、なぜこんなにいるのか

原則「週28時間」の範囲で労働する私費留学生

様々な事例を紹介しつつ、中盤からは日本の留学生受け入れにおける構造的な問題へと話題が移っていく。現行制度のおさらいや近年の法改正の概要、諸外国との比較などに加え、悪徳ブローカーや日本語学校に留学生が搾取される構造といった暗部にも切り込んでいく。入り組んだ内容であり、本書の一番の読みどころでもある。

熱心で誠実な学校や経営者がたくさんいることを前置きした上だが、日本語学校と現地の仲介人が手を組むことで、留学生をとりまく環境が怪しげな人材派遣ビジネス化する状況にも触れられている。日本国内に600以上ある日本語学校のうち、公立は1校のみというのも驚きだった。詳細は実際に読んでいただきたいが、高い学費の謎に加え、過去の不祥事なども振り返っていく部分を読むと、出口の見えない複雑な構造に行き当たる。

そうした仕組みに依存する人々の姿も映し出される。会長や理事長が逮捕されて廃校になった日本語学校の周りから聞こえてくるのは、貴重な働き手を失った地元の経営者たちの嘆きだ。もちろん地域差はあるが、違法就労がダメだとはわかりつつも「日本人より真面目に働いていた」、「本当に残念」という本音を隠せないくらいに人手不足は深刻化している。

ベトナムでは日本語学校が林立し、日本語ブームが起きているそうだ。ネパールからの留学生も急増中で、特に著者の故郷である沖縄では、この4年で10倍というペースでネパール人が増えているという。ただ、「東京オリンピック以降はオーストラリアや韓国に切り替える」といった送り出す側の本音も囁かれているらしく、勢いが長続きすることはないだろう。

もう知らないままでは済まされない

悲観的な話ばかりが書かれているわけではない。日本初の公立日本語学校を開設した北海道・東川町のきめ細やかな留学生受け入れ制度や、日本で外国人が起業する際のハードルを緩和する「スタートアップビザ」が福岡市を筆頭に広がりつつあることなど、着実に進む変化にもスポットは当てられている。

『コンビニ外国人』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

コンビニで働く外国人という身近な存在をとっかかりにして、徐々に外国人労働者の全体的な話へ広げていく切り口のうまさが何よりの魅力だ。このタイトルでなければ手に取らなかったかもしれない。一読して、もう知らないままでは済まされないと思った。読めばいかに自分の生活が、彼らの存在と、彼らをとりまくいびつな構造によって成り立っているか思い知らされるはずだ。

数多くのインタビュー、数字から見る規模感と潮流の変化、そして社会的な受け入れ体制のいびつな現状など、外国人労働者をとりまく状況が200ページちょっとで大づかみできる。より深く掘り下げた本へのステップになるような、最初の1冊としておすすめしたい。

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