なぜバラエティ番組にパクリが蔓延するのか 面白いものを作るという気概が削がれている
――人気が出ると全局がわーっと群がるという感じですね。
その人の才能を認めて起用するんじゃなくて、ネタしか見ていないんですよ。だから、ネタが飽きられたらサヨウナラ、芸人はその後苦労するハメになると。まぁ芸人はそうならないように次のネタなりを先に仕込んでシフトしていかないといけないんですが、周りがそうさせてくれないという面もあります。
テレビはむしろアナログな面を有効に使うべき
僕が今、力を入れている芝居の仕事は、実にアナログで、お客さんもテレビに比べれば少ないけれど、“やった感”は味わえるんですよ。かつてのテレビでも “やった感”は味わえたんですがね。
デジタルの時代になったといっても、テレビは昔ながらのアナログな風合いみたいなものをせめて20%くらいは残しておいたほうがいいと思います。例えば昔のディレクターは小さなお笑いライブとかに足しげく通って、自分の目で新しい人材を発掘しました。今もドラマの世界では小劇場の役者を見つけてくるということはやっていますが、バラエティはどうなのか。「アイツが面白いらしい」という情報を耳にしたらユーチューブで検索して見る、あるいは人の番組を見て面白いと思ったらすぐ使っちゃうとか。こういうのはまさにデジタル的です。「M―1」で優勝したらその芸人のマネージャーの電話が鳴り出すというのは、まさにそういうことなんですよ。優勝するようなヤツはその前から面白かったわけで、自分で早く見つけろよと思いますけどね(笑)。
――アナログというのはアナクロニズムと混同しがちですが(笑)、要は多少手間がかかっても、自分の感覚や行動をもって新しい価値を見つけていくことなんでしょうね。
そう、懐古的な意味ではなく、積極的にアナログ的なことをやったほうがいい。そもそもテレビはもう最先端のメディアじゃないんです。ネットの世界に比べたら、テレビはすでにアナログですよ。だったら棲み分ける意味でも、むしろアナログな面を有効に使うことを考えたほうがいいと思います。
棲み分けということで言えば、ニュースあるいはニュースショーの類は、今こそノースポンサーでやるべきだと思いますよ。そうしたら視聴率を気にせずできる。テレビの価値はもっと見直されると思いますよ。