100年後も残る輝きを届ける宝飾界のプリンス

新世代リーダー 梶 武史 ジュエリーデザイナー

ジュエリーデザイナーへの道を歩むにつれ、常に「偉大な父」と比べられ、大きなプレッシャーを感じ続けていたという武史氏。良質な家業を継ぐ若者たちにとって、共通の悩みともいえる「七光り」のそしりに、悔しさをかみ締めた日々もあったという。だが、いつしか、良い意味で開き直り、「自分にしかできないことをやる」と腹を決めた。今の彼からは、プレッシャーを乗り越え、恵まれた環境をも含めて「あるがままの自分」を受け入れている者に特有の、清々しさと潔さを感じる。

従来のジュエリーの概念を、打ち破った

武史氏が、本格的に自分のコレクションを発表し始めたのは2009年のこと。きっかけとなったのは、一般社団法人日本ジュエリー協会が主催する「JJAジュエリーデザインアワード」だ。初出品にしてダブル受賞となった2009年以降、2年に一度の出品を続け、3回目の挑戦となる今年、見事念願の「日本ジュエリー大賞」を受賞した。

宇宙と地球との出会いがテーマ。三角形のリング台と、指輪が見事に調和している

「大賞をいただいた作品は、今年2月、ロシアに飛来した隕石から着想を得てデザインしたものです。メテオライトと呼ばれる本物の隕石とダイヤモンドを使用し、“宇宙と地球の出会い”をテーマにしました」。

この隕石は、研磨することでウィドマンシュッテンテン構造という美しい放射線状の模様が浮かびあがる。その神秘的な雰囲気を生かして造形された三角形のリング台に、特殊カットされたダイヤモンドの指輪をセットしたこの作品は、もはやジュエリーというよりモダンな彫刻に近い印象だ。

「リング単体ではなく、それを飾る台も一緒にデザインしました。身に着けないときにもオブジェとして楽しむことができるアイデアです。隕石は10年以上も前に、有名なツーソンの鉱物見本市で手に入れたもの。ずっと大切にしてきたのですが、今が絶好のタイミングだと思い、使用しました」。

大宇宙が100万年以上かけて刻んだといわれる美しい放射状のパターン。その上に静かに寄り添うリングの姿は、まるで、どこかの星に着陸した宇宙船のようにも見える。「宇宙ブーム到来」ともいわれた2013年らしい空気感を感じさせながら、時を超える力強さを併せ持つ印象的な作品である。

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