100年後も残る輝きを届ける宝飾界のプリンス 新世代リーダー 梶 武史 ジュエリーデザイナー

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「未来のアンティーク」を目指して

口が開閉する「スカル」(どくろ)のシリーズは、デザインに加え、日本人ならではの精巧さが評価され、外国のセレブにも密かな人気だ

「ジュエリーは我が家のファミリービジネスです。ですから、目標を問われれば、まずは、父の創作ポリシーである“クラシック&モダン”を正しく継承し、広めていくこと。そして、100年後も残る本物、すなわち、“未来のアンティーク”を目指したいと思っています」。

より若い世代、幅広い層に向けて「本物の魅力」を伝える努力のなかからは、予想外の大ヒットアイテムも生まれた。口が開閉する「スカル(どくろ)」のシリーズがそれだ。従来は、ファッションアクセサリーとしてのシルバー製品しか存在しなかったスカルを、18金とダイヤモンドを使い、繊細な細工の「本物のジュエリー」に仕立てている。

「ファッションのモチーフとしてはダークな印象の強いスカルですが、古くは“死を思うことで生を謳歌する” “骨になるまで添い遂げる”といった意味がありました。17世紀頃には結婚指輪も存在していたんですよ。うちのスカルは開いた口のなかに一粒の真っ赤なルビーがセットされています。命の象徴なんです」。

今後は海外へ向けて作品を発表する機会も増えそうだ(日本ジュエリー大賞授賞式で)

単なるファッションとして表面を綺麗に整えるだけではなく、卓越した匠の技をもって、文化的な背景までをも表現していく。それこそが、「本物」の証といえそうだ。

「将来は、海外に向けても作品を発表してみたいですね。江戸の飾り職人からつながる日本の匠の技術とセンスは本当に素晴らしい。ぜひ海外の方にも知っていただきたいと思います」。

愛や絆、永遠性など、ジュエリーが持つメッセージを、直接、ひとりひとりの顧客に向けて発信したい。そう微笑む武史氏の澄んだ目のなかに、古びた商習慣や常識から開放された自由なジュエリーの未来が、垣間見えるようだ。

生駒 尚美 ライター

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いこま なおみ / Naomi Ikoma

いこま なおみ アーツ・アドミニストレーター、キュレーター、ライター。セゾングループの文化担当を経て2003年に独立。「幸福感」と「五感の開花」をテーマに、大型展覧会の企画制作など、さまざまな文化活動に従事。著書に『美しき「絆」のビジネス~仕事で幸せになる秘訣』(繊研新聞社)などがある。

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