(第11回)自分ロングテールを活用せよ(その2)

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●仕事力資産と人脈資産を活かした例

 下図は私が実際にアドバイスした方の事例を簡略化したものですが、自分ロングテールで休眠中の仕事力資産と人脈資産を如何に活かすかの参考になれば嬉しく思います。

 通常、自分に何かやりたいことがあるのに忙しくてできないと、自分の力の無さに幻滅したり、やりたいことをやらせてもらえないのに部下の面倒だけ押しつけてくる上司や会社に不満を持ってしまいがちです。しかしこれは第5回で紹介した他責型の失敗思考です。それよりも今自分に何ができるかを見つけることに注力しましょう。するとこの事例では、部下の将来や会社の方向性を考えたとき企画力がこの会社で今後求められる能力だと考え、部下の企画力を伸ばすことを部下育成のKPI(Key Performance Index:業績評価指標)にして上司の期待に応えることにしました。同時に、自分ロングテール資産である事業計画策定力やA社との強いパイプ、元上司や卒業後音沙汰がなくなってしまった知り合いの力を借りて、自分がもともと興味のあったネットビジネスの分野での事業企画立案へと結び付けることで、自己満足を得ながら自分のキャリアや経験値に新しい柱を際立てることができました。
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 月曜日に週間目標を立てることを習慣にしている人ならば、その時に自分の休眠資産と成長戦略をリンクさせて仕事をするための具体的な目標を立てましょう。やがて休眠中の自分ロングテール資産を十二分に活用できるはずです。なおこのように異なる分野やロングテール資産同士を結びつけることが得意な人のことをハイフニスト(物事同士をハイフンで結び付けられる人という意味)と呼んだりもします。彼らのような人がイノベーションや変革を起こすことができます。

 自分ロングテール資産はあなたの競争優位、差別化の源泉です。自分に投資することは最も利益率の高い確実な投資です。自分戦略を時間をかけて策定することは非常に有益なことです。なかでも最も確実なのはあなたがこれまでのキャリアやセミナーなどへの投資で得た自分資産です。しかしその多くは今の仕事に直接関係していることは稀です。前回紹介した3つの方法で、それら休眠中の自分ロングテール資産を活かすことができ、結果としてあなたのキャリアや仕事に大きなリターンを得ることができるはずです。
内田隆(うちだ・たかし)
マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院経営学修士(リーダーシップ、ネゴシエーション、戦略、起業を専門に学ぶ)。更に、ハーバード大学ビジネススクール、ケネディ行政大学院にてリーダーシップや組織経営を学ぶ。
在学中300人以上の世界のビジネスリーダー、国家元首達と会い、彼等のリーダーシップスタイルを独自に研究。特にビジネスリーダーシップやWin- Win型ネゴシエーションを家庭や趣味に応用した「人生のリーダーシップモデル」を独自に構築し定評を得る。
2007年株式会社フォロードリームを創立し代表取締役会長兼CEOに就任。他人を恣意的に動かすことよりもまずは自らをリード手本を示す「セルフリーダーシップ力」で社員力を経営競争力へと変える経営戦略&リーダーシップコンサルティングや講演、研修、執筆活動など幅広い分野で活躍している。
詳細プロフィールはこちらまで
HP: http://www.followdream.jp Email: info@followdream.jp
内田 隆

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