「ワーママが働きやすい会社」は何が違うのか 就活生も気になる「仕事が楽しくなる」仕組み

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2011年からは全社員の働き方を抜本的に変えるシステムがスタートした。それが「Will」という社内仮想通貨を使った、個人の収支管理の仕組みだ。同社はそれ以前から部門別採算性をとっていたが、部門間の売り上げや費用の計算に際しては、Willという独自の通貨を使っていた。そのWillを個人単位でも所有し、社内でやり取りするようにしたのだ。いってみれば自分の仕事、かかった費用にも、”値段が付く”ことになる。

育児支援制度がちゃんと活用されていることが入社の決め手だと語るディスコの大関仁美さん(撮影:梅谷秀司)

仕事に値段が付く「個人Will」の仕組みのもとでは、上司が部下に「この仕事をしなさい」と指示をするのでなく、「この仕事を20万Willでやってくれないか?」といった形で相談し、それを受けるかどうかは部下が決める。

条件が合えば他部署の仕事を引き受けることも可能だし、自分で新たな仕事を作って社内に売り出すこともできる。Willの残高は賞与の一部に反映し、トップクラスの人はかなりの収入増になるそうだ。

「違う会社に来たみたい」――。大関さんは、第一子の育休中に「個人Will」の仕組みが始まり、変化した社内の様子に驚いた。仕事をしたらWillがもらえるだけでなく、人に何かをしてもらったり、備品や会議室といった会社の資産を使えば、その分Willが引かれる。だから職場復帰した直後は赤字の状態から始まる。とにかく何かしてWillを稼がなければと、「こういう仕事があるけど、誰かやらない?」と言われれば、すぐに「はい!」と引き受けていったそうだ。

業務を”金額換算化”、効率的に選んで稼ぐ

当時、社内のメールシステムが入れ替わったばかりで、使い慣れずに戸惑っている人が多かった。「上司が『誰かメールシステムについて勉強して、部内で勉強会をしてくれない? 10万Willで』と言うので、『やります!』と。がんばって学んで勉強会を開いたら、『これ、全社的にもやったほうがいいんじゃない?』と言われて、それからしばらく、毎日メールシステム研修をやって荒稼ぎしました(笑)」と大関さん。

加工業務や装置の開発に関わるエンジニアのTさん(41歳)は、小学校1年生と4歳の子どもがいる。「急に休まなければいけないこともあり、納期が少し延びる可能性もある代わりに、Willの金額を低めに提示することもありました」と言う。Willによって仕事の量や質が値付けで数値化されているため、自分の仕事量や条件を調整し、無理のない仕事の仕方を選ぶことができるのだ。

装置に付随するソフトウエアの開発を行うエンジニアのMさん(35歳)は、3年ほど前に育休から復職してから、ふたつのプロジェクトを引っ張るリーダーになった。

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