検証!「普段運動する人」は老化しにくいのか 老化の進行はコントロールできる?
第1弾の研究の論文は2014年に発表された。この研究では、サイクリング愛好家たちの運動能力や認知能力を幅広く調べ、運動習慣のない高齢者やもっと若い年代の人々と比較。すると反射神経や記憶力、バランス能力や代謝関連の数値はいずれも30歳並みとの結果が出た。
だがこれだけではわからない点がいくつも残った。そこで今回発表された研究では、感染と戦うT細胞や筋肉に的を絞って調べてみることにした。
年齢より健康で、生物学的に「若かった」
たいていの場合、中年になると筋肉の健康と免疫反応は右肩下がりになり、それは10歳年を取るごとに加速する。だが最初の研究のデータには、サイクリング愛好家たちがこの点でほかの人たちと違う可能性を示すヒントが含まれていた。
そこで今回の研究では、すでに90人のサイクリング愛好家の脚から採取してあった筋肉細胞に注目。筋肉の健康度や機能を示す複数の指標について、年代別の比較を行うことにした。もし70歳代のサイクリング愛好家たちの数値が50歳代の愛好家たちと近ければ、体を動かしているがゆえに、「普通」とされる加齢による筋肉の衰えにブレーキがかかっている可能性が大きいと推論したのだ。
また別の研究者たちはサイクリング愛好家たちの免疫系について調べた。愛好家たちと運動習慣のない高齢者、そして健康な若い成人の血液を採取して比較したのだ。
こうして2つのチームがそれぞれのデータを分析した結果、それぞれ「高齢のサイクリング愛好家は普通の高齢者とは異なる」という結論に達した。つまり年齢より健康で、なおかつ生物学的に若かったのだ。