ぽっこりお腹の人が抱える健康リスクの正体 認知症、がん、糖尿病…慢性炎症が危ない

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
最近、医学界でわかってきた「万病のもと」に迫ります(写真:Graphs / PIXTA)

一見まったく違う病気に「共通項」を発見!

認知症、がん、糖尿病、アトピー性皮膚炎……現代に増えるこれらの病気に「ひとつの共通の原因」があることをご存じでしょうか。

「心臓病や脳卒中は、動脈硬化が原因で起こる血管の病気」「がんは、遺伝子の傷が原因で生まれる病気」「アルツハイマー型認知症は、脳が萎縮する病気」「糖尿病は、インスリンが不足して高血糖が続く病気」「アトピー性皮膚炎は、皮膚の病気」――こんなふうに、それぞれの病気はまったく別の原因で生じるまったく別の病気だと思いますよね?

病院で診てもらうにしても、心臓病は循環器内科や心臓血管外科、認知症は精神科や神経内科、糖尿病は内科や内分泌内科……と、診療科も違います。私たち医者も、それぞれ違うアプローチで病気の治療を行ってきました。

ところが、最近になって、これらの一見まったく別々の病気の間に、「慢性炎症」という共通項があることがわかってきたのです。

拙著『体内の「炎症」を抑えると、病気にならない!』でも詳しく解説していますが、実は炎症が私たちの「健康」や「老化のスピード」に大きく関わっています。30代以降、「ぐっと老け込む人」「ずっと若々しい人」「病気がちな人」「100歳まで健康な人」を分けるのは、この「体内の炎症」なのです。

そもそも「炎症」ってなんでしょう――?

身近な例で言えば、蚊に刺されるとすぐに赤く腫れ痒みを感じるのも、これも典型的な炎症です。蚊の唾液に入っている物質(体にとっての異物)に反応して、排除しようとした結果「炎症」という反応が起こるのです。

このように、本来「炎症」は有害なものではありません。私たちの身を守り癒す「治療プロセス」「免疫システム」です。

体は外部からの有害な“侵入者”を排除したり、組織が傷つくとその傷を修復しようとしたりします。その過程に起こるのが「炎症反応」なのです。これらは医学的には「急性炎症」と呼ばれています。

しかし、炎症が「慢性的」になるとき、深刻な問題を引き起こします。これが「慢性炎症」です。

次ページ慢性炎症が長く続くと…
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事