ぽっこりお腹の人が抱える健康リスクの正体 認知症、がん、糖尿病…慢性炎症が危ない

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内臓脂肪が増える原因は、まず、食べすぎ。特に、中性脂肪として蓄えられやすく、血糖値を急激に上げてインスリンの分泌を増やす炭水化物や甘いものの食べすぎは、よくありません。それと、運動不足や筋肉量の減少による基礎代謝の低下によって、消費エネルギーが少なくなれば、その分、脂肪の蓄えが増えていきます。

体を炎症させる最大の要因である肥満を解消するには、やっぱり食生活の改善と運動が欠かせません。今日から、脂肪を溜め込む生活を卒業しましょう!

炎症を抑える「食生活の工夫」

炎症を抑えるものとして、いま注目を集め、国内外でさかんに研究が行われているのが「EPA(エイコサペンタエン酸)」と「DHA(ドコサヘキサエン酸)」です。

EPAもDHAも、青魚の油に多く含まれる体にいい成分として有名ですね。とくにEPAは「血管にいいもの」、DHAは「脳にいいもの」として覚えている人が多いと思います。これらがいま、「炎症を抑えるメディエーター(物質)」として再び注目を集めているのです。

『体内の「炎症」を抑えると、病気にならない!』(三笠書房)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

難しい話は抜きにして、具体的に日常の食生活でできる3つの工夫を最後にご紹介しておきましょう。

[工夫1]EPAやDHAが豊富な魚を食べる。肉も大切なタンパク質なので、昼食で肉を食べたら夕食は魚にするというように、肉と魚を交互に食べるといいでしょう。

[工夫2]体内でEPA、DHAに変換するαリノレン酸を多く含んだアマニ油やエゴマ油などを摂る。

[工夫3]魚が苦手な人にあくまでも補足としておすすめしたいのが、EPA、DHAのサプリメントで補うという方法。ただし、サプリメントというのはあくまでも栄養を補うためのもの。食事のなかで魚などからEPAやDHAを摂れるなら、そのほうがいいのです。

池谷 敏郎 医学博士/池谷医院院長

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いけたに としろう / Toshiro Iketani

1962年、東京都生まれ。医療法人社団池谷医院院長。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。1997年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとして、数々のテレビ出演、雑誌・新聞への寄稿、講演など多方面で活躍中。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。著書に『体内の「炎症」を抑えると、病気にならない!』(三笠書房)、『「血管を鍛える」と超健康になる!』『血管の名医が教える15歳若返る習慣』(ともに知的生きかた文庫)などがある。

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