ぽっこりお腹の人が抱える健康リスクの正体 認知症、がん、糖尿病…慢性炎症が危ない

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そうすると気になるのは、「自分の体はくすぶっているの?」ということでしょう。どのくらいくすぶっているのか“手がかりになる数値”があります。そのひとつが、高感度「CRP(C reactive protein:C反応性タンパク)」です。

炎症が起こると、肝臓がいくつかのタンパク質を作って、血流に乗せ全身に送り込みます。そのひとつが、「CRP」というタンパク質なのです。

人間ドックや健康診断の血液検査でも、この「CRP」が測定項目に入っていることはありますが、血糖値やコレステロール値などとは違い、なじみのないアルファベットなので、気に留めていない人が多いのではないでしょうか?

健康診断の結果表が残っている人は、ぜひ取り出して見てみるといいでしょう。

アメリカ食品・医療薬品局(FDA)が、1999年に高感度CRP測定法を慢性炎症である、動脈硬化の指標として承認しており、近年では人間ドックでも心筋梗塞などの冠動脈疾患のリスクアセスメントとして高感度CRPが行われています。具体的には0.20mg/dl以上になると冠動脈疾患のリスクが高いといわれています。

慶應義塾大学医学部の百寿総合研究センターとイギリスのニューカッスル大学が行った共同研究では、「85歳~99歳」「100歳~104歳」「105歳以上」のどの年代群でも、CRPをはじめとした炎症マーカー(値)が高い人のほうが、低い人よりも早く亡くなっていました。しかも、この研究では認知機能や日常生活の自立度も調べているのですが、どの年代群でも、炎症マーカーが低い人たちのほうが認知機能も日常生活の自立度も高かったのです。

この結果から推察できるのは、体内の炎症が少ない人のほうが寿命だけではなく「健康寿命」も延びるということ。つまりは、体内の炎症が少ない人ほど、元気で長生きできるということです。

ポッコリお腹「りんご型体型」が危ない!

CRP値を見るまでもなく、「体内の炎症」を心配するべき人がいます。それは、いわゆる「リンゴ型」といわれるような、お腹がポッコリ出たようなタイプ、「内臓脂肪型肥満」の人です。

実は、肥満が進めば進むほど、「体内の炎症」は進むことがわかっています。肥満の人の脂肪組織、とくに内臓脂肪からは、「体内の炎症」を引き起こす物質「アディポサイトカイン」が多く分泌されるからです。

内臓脂肪は体内の炎症を引き起こす厄介な脂肪ですが、ただ、「つきやすく、取れやすい脂肪」です。そういう意味では、決して厄介ではありません。

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