他者の成功例が失敗よりアテにならない理由

不安は無視しても意識しすぎてもいけない

成功例をまねるのは難しいものです(写真:triloks/iStock)

以前に私は、海外のカジノで負けが込んでいる人たちを観察したことがあります。彼らに共通するのは、どのギャンブルをやるときも、すぐにテーブルに入っていくことでした。

逆に、多少なりとも勝っている人たちは、テーブルの外からディーラーと客との勝負をしばらく観察します。これは、その場の雰囲気に慣れ、状況を見極めながら、不安を遠ざけるための対策を立てる時間を取っているのです。

ところが、ギャンブルに負ける人は、自分が失敗することは考えずに高揚感のまま席につき、賭けながら熱くなって大勝負に出てしまいます。

拙著『運は操れる』でも詳しく解説していますが、これはギャンブルに限らず、人生のあらゆる局面にも当てはまります。

不安と向き合わずに無理をした結果、失敗し、その痛手が「またダメかもしれない」というネガティブな物事の見方を育み、チャレンジする勇気が薄れていく。

不安は無視しても、意識しすぎても不運を呼び寄せます。

「失敗ノート」をつけて読み返す

ある意味、世界で最も運がいい人物と言える投資家のウォーレン・バフェット。そのバフェットが会長を務める投資持株会社バークシャー・ハサウェイの副会長で、ずっと右腕として頼られてきた人物が、チャーリー・マンガーです。

自身も投資家として莫大な富を築き上げてきたマンガーには、不安に強くなるために実践している、たった1つの習慣がありました。

それは「チャーリー・マンガーの失敗ノート」と呼ばれるノートを作ることです。

ノートに書き留められているのは、その名のとおり、マンガーが見聞きしてきた数々の失敗です。投資家、政治家、企業家、スポーツ選手、歴史上の人物、あるいは新聞記事となった一般の人々。

ポイントは、客観的に見ることのできる他人の失敗やしくじったニュースを書き留めることです。マンガーは、新たな投資を行うときには必ず「失敗ノート」を見返していました。

そして、自分の現在の行動と見比べ、何か思いもよらぬ失敗をしていないかをチェックしていたのです。

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