結婚して1年目には妊娠をしたが、流産をしてしまう。年齢的に最後だと思っていたのですごく悲しく、優一さんには「もう授からないと思う」と伝えた。彼は「2人で生きていけばいいじゃないか」と言ってくれた。光代さんは不妊治療を受けるつもりはなかった。
「治療が大変すぎて、夫婦関係がおかしくなってしまうケースもあると聞いたからです。私は子どもよりも主人のほうが大事なので、自然に任せるしかないと思っていました」
幸いなことに、昨年に光代さんは再び妊娠することができ、経過は順調だ。しかし、心配事がなくなったわけではない。産休明けにどのように働いていくのか。通勤時間の長さを考えると、時短勤務でも子育てと両立するのは難しいと感じている。
「私のキャリアはここで終わり…」
「自宅作業ができる業務委託になると、仕事内容は変わらないのに給料が半分以下になってしまいます。それでは自宅近くのスーパーでパートをするのと変わりません。
私の産休中に会社の制度が進み、正社員の在宅勤務も許されるようになるといいな、と妄想しています。でも、現実的ではありません。仕事は楽しかったけれど、残念ながら私のキャリアはここで終わりなのだと思っています」
ボードゲームが縁で知り合った2人。今は、「家庭生活」という名のゲームを一緒に楽しんでいるとも言える。勝ち負けを競うのではなく、喜びも悲しみも分かち合って支え合うことでそれぞれの人生が高まるという不思議なルールだ。どちらかが立ち止まって休んでいる間に、もう一人が張り切って進んでも構わない。いつか死が2人を分かつまで、味わい深く穏やかなゲームは続く。
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