このような集団心理、とりわけ白い羊たちに働くものとは何なのでしょう。
今から100年以上前、集団の心理が個人の心理と異なることが明らかになりました。集団の心理行動の特徴としては、排他性、断言・反復、感情的・衝動的、思考の単純化・同一化、道徳性・知性の低下、服従性などが挙げられます。
周囲からの同調圧力が人を善人から悪人に変えてしまうこともあります。心理学の研究によれば、集団の持つ同質性が個人の責任を曖昧にし、誰もが加害者になり得るとされています。
では、こうした中で図らずも「黒い羊」となってしまった場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
集団を「白い羊たち」と見立てた場合、個人の「黒い羊」が取るべき対処法は――(1)価値や自尊心に対するこだわりを認める、(2)勝ち負け・敵味方に対する意識には取り合わない、(3)感情的な解釈を交えず接する――に分けられます。
価値や自尊心に対するこだわりを認める
白い羊たちは自己評価を高めることに熱心です。自身が所属する集団が優れているか否かも自身の評価に直結するため、集団の構成要員に訳の分からない人(黒い羊)が入ることで、自分たちの価値がおとしめられてしまうのではないかと脅威に感じるのです。そして、黒い羊を集団から排除することで、自身と集団の価値を守ろうとします。
こうした中に黒い羊として身を置いてしまった場合、白い羊たちの存在や立場、役割を尊重する姿勢を示すことが大切です。
彼らにとっては新参者が脅威なわけですから、自分は安心できる存在であり、彼らを脅かす存在ではないことを折に触れ伝え、彼らに対して敬意を持てる部分は言葉で示すことが求められます。
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