温泉の「男女混浴」は時代遅れになったのか 法律・条例で異なるちぐはぐな各地域の対応

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では秘境の宿などには共同浴場が男女別ではなく混浴のところがあるのはなぜか? これは「目こぼし」だ。旅館業法ができる前から伝統的に存在している混浴の浴場は黙認されているというのが実態のようだ。したがって、現在、混浴で営業中の旅館が廃業すれば、減っていく運命にある。新設は認められていない。

他方、冒頭の「瀬音の湯」のような日帰り入浴施設を規制する法律は公衆浴場法だ。実際には同法に基づき、都道府県あるいは保健所を設置する市または特別区が定める公共浴場条例があり、混浴の規定もここにある。

まず、すべての自治体において公衆浴場条例により原則的に男女の浴室・脱衣室を区分することとされている。したがって、同条例の適用を受ける日帰り入浴施設の共同浴場の混浴はほぼ見かけないはずだ。あったとしても、規制が強化され、廃止されてきているはずだ。水着等の着用を義務付けた施設について例外を認めている自治体もある。

子どもの扱いも自治体によって異なる。異性の大浴場に入れる子どもの年齢制限は9歳以下とする自治体が多いが、6歳以下から11歳以下までバラつきがある。

貸切風呂への対応はさらにバラバラ

貸切風呂についての公衆浴場条例の扱いもバラバラだ。東京都は10歳以上の男女の混浴を認めておらず、貸切風呂についての例外もない。それゆえ今回訪れた瀬音の湯の貸切風呂は共同浴場と同様、10歳以上の男女は利用禁止なのだ。ただ、介護が必要な人を入れる場合は男女であっても混浴とはみなしていない。これについても自治体によって差があり、介護でも着衣を求めている自治体もある。

大阪府では浴場側が入浴者と直接面接できることなどを条件に、家族風呂を同一家族が一緒に入浴することを認めている。兵庫県でも条例を改正し、家族等に限り混浴を認めている。

そもそも旅館では貸切風呂での混浴は許されて、日帰り入浴施設では基本的に許されないのはどうしてであろうか。

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