女性FRB議長揺さぶる、「男と女の政治」 イエレン次期FRB議長が置かれた微妙な立場

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イエレン議長が置かれた、微妙な立場

議長になってしまったら、向こう3年間はオバマ政権を守らなければならない。議会にいじめられることもあるだろう。さらに2016年に共和党政権が誕生したりしたら、どんな仕打ちを受けることか。共和党は、基本的に金融政策ではタカ派寄りであって、量的緩和策などという怪しげな政策を嫌っている。イエレン次期議長が考える方向へと金融政策を誘導するのは容易なことではあるまい。

だったらいっそ指名を断るか。ところが、「女性初のFRB議長」を自分の意思で辞退するとなると、「ガラスの天井」を打ち破ってほしいというアメリカ女性の願いを裏切ることになる。あちらを立てればこちらが立たず。さぞかしつらいお立場であるものとお察し申し上げる。が、悪いのはオバマである。

次に議会共和党の側になって考えてみよう。「少数派に転落しつつある白人男性の党」というイメージが強まっている共和党としては、女性の次期FRB議長候補の承認を邪魔して世の女性の反発を買いたくはない。その一方、連邦政府のシャットダウンと債務上限問題で与野党がにらみ合っている今日、次期FRB議長人事は共和党にとって一種のカードになりうる。何らかの取引材料にされてしまうおそれはゼロではない。

結論として、「そんなに簡単じゃないよ」ということになる。アメリカ経済は夜明けが近いけど、オバマ政権はすでにたそがれ始めている。演説の冴えは相変わらずだが、人事でも議会対策でも中東政策でも、オバマ大統領の判断力は乱れ始めているようにみえる。大統領も任期は5年目、周囲がイエスマンばかりになる危険な時間帯なのである。

下手をすればわれわれは、向こう3年間にわたってレイムダック大統領を相手にすることになるのかもしれない。同盟国・日本としては安全保障でも経済政策でも、「当てにならないアメリカ」を当てにしなければいけない、ということだ。何とも気の滅入る話ではないか。

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