落合陽一「人口急減はテクノロジーが救う」 20年後に向けて日本が今から採りうる策

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――テクノロジーで人手不足を解決できても、国内需要が減少するのは避けられないのでは?

たしかに、テクノロジー自体は消費をしないから需要の問題は解決できない。でも労働がストック型になり人の労働時間が短くなれば、余暇が増えて需要を生み出していくだろう。Vチューバー(架空のアバターなどが動画を配信する、バーチャル・ユーチューバーのこと)や小説家の印税収入のように、権利に対しておカネがもらえる職業が増えていく。

たとえば、いまプログラマーは労働の対価としておカネをもらって、書いたプログラムの権利は個人ではなく企業に渡って利潤を上げている。でも、プログラムの権利が個人に残るようになったら(過去に)書いた分だけ、ストックでおカネが入ってくるようになる。権利に対して対価を得る。あらゆる職業でそういう働き方が増えていけば、余暇が増えて消費も増える。

あまり悲観する必要はない

――日本企業にテクノロジーの競争力はありますか。

ここ10年ぐらい、日本は海外にソフトウエアの発想で負けてきただけで取り返しはきく。グーグルやFacebookもオープンソース化が進んでコモディティソフトウエアになったら、企業として市場のパイを取り続けられない。

日本にはシリコンバレーのように世界中の投資家や企業が集まるエコシステムが少ないといわれる。でも、豊田市や日立市の周りに日本の企業村があるのと、グーグル・アップル村にアプリの企業があるのは本質的には何も変わらない。国がしっかりしているほうが強いし、転換する時期がいずれ来ると思う。

高度経済成長期には、生活はどこまでも便利になるし、2001年には宇宙に行けると思っていた。日本にはハードの技術がある。そこを揺り戻しつつ、高齢化に対応した技術を輸出していけばあまり悲観する必要はない。人口が減少しているときこそ、テクノロジーで問題を解決しようというマインドセットが必要だ。

『週刊東洋経済』4月7日号(4月2日発売)の特集は「20年後 ニッポンの難題」です。
秦 卓弥 東洋経済 記者

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はた たくや / Takuya Hata

流通、石油、総合商社などの産業担当記者を経て、2016年から『週刊東洋経済』編集部。「ザ・商社 次の一手」、「中国VS.日本 50番勝負」などの大型特集を手掛ける。19年から『会社四季報 プロ500』副編集長。21年から再び『週刊東洋経済』編集部。24年から8年振りの記者職に復帰、現在は自動車・重工業界を担当。アジア、マーケット、エネルギーに関心。

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