ハリルジャパン、遠征未勝利で何を学ぶのか 選手たちにはロシアW杯に挑む強い自覚を

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崖っぷちに瀕した2010年南アフリカワールドカップの日本代表が予選1次リーグを突破できたのも、守護神・川島永嗣(フランス・メス)と中澤佑二(J1・横浜F・マリノス)、田中マルクス闘莉王(J2・京都サンガ)を軸とした守備陣でしっかりと相手の攻めを跳ね返したからだ。

先に失点したのは0-1で惜しくも敗れたオランダ戦だけだ。やはりワールドカップのような大舞台では、日本が先に失点すると勝てる可能性が一気に下がると考えたほうがいい。

欧州組を含めたメンバーで5戦勝ちなしの日本代表を見てみると、無失点ゲームは皆無。しかも先に失点したのは、11月のブラジル戦(フランス・リール)、ベルギー戦(ベルギー・ブルージュ)、今回のマリ、ウクライナと4試合にも上っている。攻撃陣が迫力を出せずに苦しんでいる今、リードを許してしまったら、本当に勝ち目がなくなる。それは本大会に行けばなおさらだ。

この遠征で何を選手が得るのか

前からプレスをかけていくのがハリルジャパンの基本戦術ではあるが、ある時間帯は2010年W杯の時のように自陣に引いてブロックを作ることも考えるべき。そういう守備の修正はロシア直前合宿でもできるはずだ。

まずは失点を最小限に減らすことが、ミラクルを起こすカギになる。今回リーダーに躍り出た槙野には、吉田や長友、川島らとともにそういう意思疎通を図る役目を率先して担ってほしい。

停滞感が続く日本代表は今、自信喪失寸前だが、現状を嘆いたところで何も始まらない。今回の2連戦から何を教訓にするのか。それが何よりも重要だということを、選手たちには肝に銘じてもらいたい。

(文中敬称略)

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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