「画像処理技術」の最先端で起きていること モルフォ社長にロングインタビュー
平賀:それも必要ですが、デンソーや医療系のエスアールエルと業務提携をし、一緒に研究開発をさせてもらっているので、その中から骨太のものが出てくるのではないかとも思っています。
AI時代にバリューを出す人材
小林:御社がこれから非連続に成長していくためにいちばん不足しているものは何だとお考えですか?
平賀:それで言うとあらゆる面で足りていないでしょうね。たとえば人材も、今日本は景気がいいということもあって、なかなかいい人材を採用できないんです、エンジニアでも、エグゼクティブでも。
村上:大手と提携してビッグデータへのアクセスがある点は、エンジニアの採用にとって強みではないですか?
平賀:今はAIバブルですから、AIの経験がある学生が当社に就職するパターンはあまりありません。今、プログラムのチャレンジ問題をウェブに載せて、それが解けたらレジュメを送っていいという応募をやっているんですね。そこから数学系や物理系の学生が応募してくるケースが多いんですが、地頭もいいし数学的センスもあるので、1年くらい経験すればAIの分野でもトップクラスの人材になるのではないかと考えています。そういう人たちを育てるほうがいいと思っています。
今のAI人材のバブルを見ていると、1980年代~90年代に「ソフトウエアエンジニアが足りなくなる」と言われていた時期に似ている気がします。今では、IT・ソフトウエアの分野で、下請け・孫請けにいる人達がブラックな環境で働かざるをえないように、AIの分野でも、5年もしたら同じことが起きるんじゃないかと思っています。
朝倉:なるほど。エグゼクティブ人材で言うと、昨年、課徴金納付命令勧告が出て、その後経営陣の変更がありました。これは勧告も影響しているんですか?
平賀:経営陣の変更は課徴金とは別の文脈です。ただ、バックオフィスの人材のテコ入れはしています。勧告については異議申し立てをしていて、結論はまだ出ていませんが、われわれの方にも改善しなければいけない部分があったことは確かなので、そこは変えていかなければならないと思っています。
ここは意見が分かれるところだと思いますが、バックオフィス系はルーティン業務が多くて、昨日やっていたことを今日も当たり前にやり続けるという文化を持つ人が多いんです。ただ、それでは進歩がない。これからAI化によってルーティン業務が置き換えられていくと、そういった人材も、付加価値を出さなければならない。そういう意味でも、バックオフィスは業務のやり方から変えていかないといけないという意図もあり、人材の面でテコ入れを行っています。
村上:なるほど。今日はモルフォの事業の変遷について詳しくお聞かせいただき、ありがとうございました。
(ライター:石村研二)
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