「画像処理技術」の最先端で起きていること モルフォ社長にロングインタビュー

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平賀:実は今、スマホシフトで国内売上を失った時期と少し似た状況にあります。われわれの売り上げの10%以上を占めているのはファーウェイとデンソーの2社だけです。売り上げの50%を越えるまでにはさらに5社程度が必要なくらい、顧客が分散しています。しかし、デバイスではスマホが圧倒的に多いんですよ。スマホという市場が今すぐなくなるとは思いませんが、ビジネスとしての旨味がなくなる時期が、5年以内に来る可能性が高いと思っています。ですのである程度、違う事業領域にもリソースを振り分けようと考えています。

スマホで培った画像処理、認識技術をクラウド系のサービスや自動運転の車載カメラ、医療向けの検査機器といった事業に広げていく仕込みをしている段階ですね。

村上:違う事業領域に進出する際、マーケットインで行くのかプロダクトアウトで行くのかによって、組織の作り方も変わってくると思うんですが、中期的にはどちらの方向に進まれるおつもりですか?

平賀:ガラケー時代もスマホシフト後も、お客様から「こういったものがないか?」と言われるケースのほうが多いんです。ただ競争力の強い製品というのは、お客様から言われて作ったものではなくて、自分たちで「こういったものがあったらいいんじゃないか」と考えて作った製品であることのほうが多いんです。だから、将来的にはそちらの方にシフトしていきたいと思っています。

AI時代、「データを制する者が世界を制す」

村上:スマホ以外の分野に進出するために、デンソーなどの大手と組まれていると思うんですが、大手と組むメリットは何でしょうか?

平賀:今われわれが掲げているビジョンは、「画像処理の技術と画像認識の技術を融合させて、カメラにどんどん知能を持たせていこう」というものです。その画像認識の技術を担うのはAIです。現在は「AIバブル」だと言われていて、われわれもAIの部分に力を入れていますが、AIの分野では大手と組まずに自分たちでプロダクトを作っていくことは不可能に近いんです。ディープラーニングの世界では良質な「教師データ」といわれるものが大量に必要です。そのデータを、スタートアップが独自で手に入れることはほぼ不可能なので、データを大量に持っている大手と組み、お互いにいいものを作っていこう、という体制を組んでいます。

村上:ドコモとの提携は売り上げを構築するための提携でしたが、今の提携は、データを保有する大手と組むことでプロダクトに競争力を持たせるためのものということですね。

平賀:そうせざるをえないんです。われわれが今、提携している会社も、その業界でナンバー1かナンバー2というところですが、そうするとデータの集まり方が全然違います。大量のデータを保有するプレイヤーが勝つ世界って、本当に恐ろしいと感じますね。

村上:そうですね。一方、デバイスソフトウエアメーカーとしては、最終的にはマーケットの面を取りたいという欲求があると思いますが、大手と提携することで他企業への展開には制約が出てくると思います。今後、どのようにバランスを取っていくのでしょうか?

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