「画像処理技術」の最先端で起きていること モルフォ社長にロングインタビュー

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モルフォ2014年10月期 決算説明会資料より。スマホの浸透が進展し始める2013年ごろからビジネスが大きくシフトし、急激に海外端末メーカーへの売上構成比が上昇している(画像:モルフォ社資料)

平賀:国内のビジネスがなくなったため、海外でビジネスを作らなければならなくなり、急速に転換せざるを得なかったというのが正直なところです。日本の家電メーカーは、不振事業部門から携帯電話事業にごっそり人材を移していたので、その人材で曲がりなりにも技術開発ができるなら、コストをかけて外部の技術を導入する必要はないという方針でした。対して海外のメーカーは、その端末が良くなることに投資するので、例えばソフトウエアにしても自社の技術と外部の技術をコンペして、良い方を採用するというのが基本的なスタンスなんです。それをチャンスと捉えて、2012年から一気に海外シフトすることにしたんです。

村上:国内と海外では、営業のやり方や契約の進め方でもいろいろ違いがあると思うんですが、急速にシフトするために、人の入れ替えなどもされたんですか?

平賀:人の入れ替えはありましたね。ただ、国内のビジネスがなくなってしまったため、日本でしか営業できない人は成果が出せなくなって辞めていき、結果、海外への営業で成果を出せる人が残ったという感じでした。

村上:業績を振り返ると、あのタイミングで急速に海外シフトできたということが、今の御社の土台になったんでしょうか?

平賀:そうですね。ただ振り返ってみると、あと1年くらい早く海外シフトすると判断できていたら、あそこまで業績が落ち込まなかったんじゃないかとは思います。だから、遅いと言えば遅いんです。

村上:「ドコモの雰囲気が変わったタイミングで海外にシフトできていれば……」ということですか?

平賀:そうですね。目の前の売上に囚われすぎていたんです。国内の顧客の希望することをやっていないと目の前の売上を失ってしまうという感覚があったんですね。実際はその時すでに売上は失っていたんですが、目の前の国内の顧客しか見えていなかった。結果として、2012年に20人程、人を減らすことになってしまったんです。

朝倉祐介(シニフィアン共同代表。以下、朝倉):その時期が、上場のタイミングともほぼ重なっていますよね。上場を意識したことが社内の状況をガラリと変える足かせになったというのもありましたか?

平賀:確かに、それは少なからずあったと思いますね。上場を見据えると、どうしてもリスクを小さくする方向に考えが傾いてしまいますからね。

もし、スマホがなくなっても

村上:今でも、業績がiPhoneに代表されるいくつかのデバイスに依存している会社が、世の中には数多くあります。その中で、デバイスの未来を含む市場の流れを先読みできる企業が大きな成長を遂げています。平賀さんは、今の市場の流れをどう感じていますか?

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