米国の対中巨額赤字、元凶はiPhoneなのか 中国で組み立て、世界中に出荷

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だが現在の貿易統計は、中国の輸出額として製造コストの大半を計上しており、そのため世界貿易機関(WTO)のような世界的機関は付加価値ベースなど別の算出方法を検討している。

アイフォーンの輸出データだけを見ても、その影響は多大なものになりかねない。

調査会社カウンターポイントとIHSマークイットのデータによると、アップルは昨年、米国向けにアイフォーン6100万台を出荷している。また、アイフォーン7と同7プラスをそれぞれ1台製造するのにかかる費用は平均258ドルだった。

ざっと計算すると、アイフォーン7シリーズは昨年、米国の対中貿易赤字に157億ドルを加算したことになる。それは対中貿易赤字全体の約4.4%を占める。また、中国から米国に輸入される携帯電話や日用品総額700億ドルの約22%に相当する。

「最終的な組み立てが中国で行われるアイフォーンの場合、(中国によってもたらされる)価値の大半は部品そのものではなく労働力だ」と、米シンクタンク「情報技術・イノベーション財団(ITIF)」の経済アナリスト、ジョン・ウー氏は指摘する。

また、オックスフォード・エコノミクスのアジア経済担当責任者ルイス・クイジス氏は、米国企業が世界的なサプライチェーンを使って中国で製造することは、その他の経済も貿易戦争に巻き込まれることを意味すると強調する。

「まさにそれこそ、米中貿易摩擦が、とりわけ他のアジア経済に『コラテラルダメージ』を与える重大な理由だ」とクイジス氏は説明。付加価値ベースで見た場合、米国の対中貿易赤字は昨年、2390億ドルにすぎず、米国が主張する数字よりも36%減少すると付け加えた。

対中貿易赤字に向けたトランプ大統領の懸念に対し、アップルは一部のサプライヤーを米国へ移転させると約束。同社は1月、米国で550億ドルの設備投資を今年行う計画だと発表した。

設計はカリフォルニア

調査会社ストラテジー・アナリティクスによると、アップルは過去10年間で、米国向けに3億7300万台のアイフォーンを出荷。その製造業付加価値は1010億ドルに相当する。

米貿易赤字に対するアイフォーンの貢献度は、小売価格が上昇し出荷が増加するにつれ、高まっていったことはほぼ確実だ。

だが、製造業付加価値には、販売業者のマージンやアップルが米カリフォルニア州クパチーノの本社で行う設計やデザインによってもたらされる知的財産の価値は含まれない。

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