まずは今回追加されたe-POWERではない、従来からあるスマートシンプルハイブリッド車の走行性能から。4代目までのセレナでは発進時からグッと頼もしい加速感を演出していたが、現行モデルでは同じアクセルペダルの操作量では加速力が弱い。
ただし、その特性を理解してアクセルペダルの踏み込み量を静かに増やすとそれにぴったり歩調を合わせて加速力が強くなる。この“静かに踏み増す”ことへの反応はトランスミッションであるCVTが苦手とする領域ながら、開発者によると「こだわりをもって変更した部分」とのこと。その意図は「ミニバンという性格上、多人数乗車が多くなることから3列目シートに座る人の頭がなるべく動かないようなジワッとした発進加速が意識することなくできるようなセッティング」なのだという。なるほど……。
e-POWERはどうか? 乗ってすぐに実感できるのは駆動用モーターによる滑らかな加速性能で、車体がフワッと前に引っ張られ、その後グワッ~と一定の加速度変化(躍度)を伴い車速が伸びていく。じつに軽快な印象だ。すでに知られているように、モーターは回転開始直後から乗り物の加速力を左右する最大トルクを発揮(一部に例外あり)するため、1760kg(試乗したセレナe-POWER)と重めの車両重量でもアクセルペダルを踏む右足と車体が一体になったかのように感じられ心地が良い。電動駆動車のさらなる美点としてジンワリとしたアクセル操作にも対応してくれるので、スマートシンプルハイブリッド車で実現している「3列目でも頭がぶれない発進加速」も難なくこなせる。
e-POWER Driveの魅力
e-POWER Driveの魅力はどこか? 「セレナ」や「ノート」のe-POWERではe-POWER Driveという独特のアクセル操作が可能だが、そこに大きな特徴がある。
e-POWERは他のハイブリッドシステムと同様、アクセルペダルを離した際に回生制御によって減速する。クルマを停める運動エネルギーを発電による電気エネルギーに変換して制動力を得ているのだ。
e-POWERはその回生制御が意図的に強められている。最大減速度0.14G程度。この値はアクセルを離したときの減速感で、同乗者から「これってブレーキペダル踏んでいますか?」と言われてもおかしくないほどのブレーキ力の強さだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら