「セレナ」ではステアリング右下、ちょうどスライドドアの開閉スイッチあたりに配置された切り替え式の「ドライブモード」スイッチにより、「スマート」「エコ」「ノーマル」の3つの走行モードが選べるが、このうち強めに減速するのはスマートとエコ。
さらにスマートではエコと比べ30%以上も加速力が強く、慣れてくるとアクセルペダルを踏んだり戻したりするだけで前走車への追従走行ができる。日産ではこれを「ワンペダル」とネーミングした。
もっとも強めの回生制御はめずらしい走行スタイルではなく、それこそ1997年登場の初代プリウスでもこなせるものだが、ワンペダルという冒頭の“やっちゃえ” NISSAN/同一車線自動運転技術/e-POWERに続くシンプルなキーワードは見る者、聞く者に対しストレートに伝わるようだ。
車速0km/hの保持、つまり完全停止状態を保つにはしっかりとブレーキペダルを踏む必要があるが、停止状態を保持する「オートホールド」機構があるのでブレーキペダルを踏み続けることから解放される。地味だが、便利な機構だ。
燃費数値も良好
1人で試乗した限りでは燃費数値も良好で、都市部では16~18km/L、直結モードを持たないシリーズハイブリッド方式が苦手とする高速道路でも19~21km/L程度を記録した。完全無欠のe-POWERだが筆者には気になる部分がある。それはe-POWER Driveによる減速特性だ。条件が良ければ都市部での走行のうち、ざっくり50%くらいの行程で日産が表現する「ワンペダル」走行ができる。
ただ、e-POWER Driveの機構上、ブレーキからアクセルへと足を踏み換えている間も車速に応じた減速度を継続的に生み出しているため、ドライバーの想い描く減速感よりも強くなることがある。
顕著なのは右左折時。e-POWER Driveだけでは減速が足りずブレーキペダルを踏んだとしよう。車速が落ち安全確認ができた段階では、当然アクセルペダルに足を踏み換えるのだが、その踏み換えている間にも車速に応じた回生制御、つまり減速したくないのに減速してしまう現象が発生する。
前述したドライブモードのスイッチを「ノーマル」にすれば回生制御が入らないので、気になる場合は切り替えるという手は残るが、ちょっとしたシステム変更、たとえば右左折時と判断した場合のブレーキ操作からアクセル操作時には回生制御を緩めるか、一時的にノーマルへとドライブモードが自動的に切り替ることでも対処できるのでは……。e-POWERの次なる車種には、そのあたりの調整を期待したい。
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