「ガザ地区」から初めて出た男性が見た現実 ほかの人たちの暮らしを見なければ…

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ニューヨークの街中で雪を見て大げさに喜んでいた大人は私だけだったかもしれない。それどころか、外に出て雪遊びまでした。仲間とともに過ごしたブルックリンと、マンハッタンの間を地下鉄で移動し、1週間にわたる会合が終わって彼らが帰る時には、悲しい気持ちになった。彼らは、また来年会えると言ってくれたが、本当にそうなればいいと思う。

故郷の友人や家族は「ガザの外での生活はどうだ?」とつねに訊いてくる。私は答えられない。1日に4時間から6時間しか電気が使えない場所で生活する人たちに、ただ見栄えがいいというだけで24時間電気を灯し続けるニューヨークの高層ビル群のことを、どう伝えたらいいのだろうか。

ガザでは男性の4割、女性の7割が無職

発電機の騒音や夜間に耳をつんざくイスラエルの無人偵察機、あるいは、いつ起きてもおかしくない紛争への恐怖のない生活をどう感じたらいいのだろうか。許可を取らずに気まぐれにバスや電車、飛行機に乗ったり、世界を旅行したりすることはどうだろうか。

自分が多くのガザの人々より恵まれていることは理解している。彼らの70%が主に (米ドナルド・トランプ政権が、自らが計画した和平協議に参加するようパレスチナ自治政府に圧力をかけることを目的に、予定していた寄付金額の相当部分を供出しないことを決めたため、その予算の確保は微妙な状況になっているが) 国際連合パレスチナ難民救済事業機関からの人道支援に依存しています。

現在、男性の失業率が40%、女性の失業率は70%に上るが、父、姉、そして私はいずれも仕事を得ている。2008年からのハマス率いるガザ政権との軍事衝突中の3度にわたるイスラエル軍による攻撃でも、私の家族は被害を受けていない。自宅も無事だった。

所属する組織の助けがなければ、おそらくガザの外に出ることさえできなかっただろう。今月中にエレツの検問所にイスラエル側から入り、ガザに戻ることについては考えないようにしている。可能だとしても、次にいつまた外に出る許可が得られるか不安だ。ほかの人たちの生活を見なければ、ガザでの現実を受け入れることはもっと簡単だったのかもしれない。

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