スコッティ「使い捨て布巾」のすごすぎる実力 工業用から生まれたペーパータオルが人気化

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発売当初のパッケージ。現在のビジュアルに比べると、確かに使用シーンはわかりづらい(写真:日本製紙クレシア提供)

現在、右肩上がりで売れている商品だが、実は2010年秋の発売から2年半ほどは全く売れなかったという。61カット×2ロール(税込598円)に加え、限定のお試しサイズとして小さめ34カットの1ロール(税込198円)も売り出したが、当時、キッチンタオルの主流相場は10カット×2ロール(100円くらい)だったため、消費者には割高に映ったようだ。

そこで、同社は2013年春にリニューアルを実施。消費者が手に取りやすいよう、61カットの1ロールのみで売り出すことに。根強いニーズのあるプリントタイプ(52カットの1ロール)も新たに投入した。

また、「ネーミングはわかりやすいものの、実際の使用シーンが見えにくかった」(同社営業推進本部マーケティング部課長の加藤雅紀さん)との反省から、「使用シーンの見える化」を徹底。パッケージに写真を入れて使用方法を視覚的に訴求し、使い方を説明する動画もアップした。実際に使ってもらうため、サンプルの拡散にも力を入れた。2枚入りのサンプルを既存商品に貼ったり、店頭で配ったりと、半年で10万サンプルを配布したという。

販促の中でも、特に店頭での推奨販売は効果があったそう。ドラッグストアの店頭に社員を派遣し、一般的なキッチンタオルと比べ濡らした時の強度がいかに違うかを目の前で見せると、売れ行きが伸びたという。実演した店舗ではリピート率も高まった。最近では、取り扱い店舗が増え、ホームセンターなどにも販路が広がり始めているという。

清潔&時短ニーズが背景に

営業推進本部マーケティング部課長の加藤雅紀さん(写真:尾形文繁)

現在、同商品に限らずキッチンタオル類の売り上げや消費量は全体的に伸びているそうだ。興味深いのは、4割の人がキッチンタオルをワイプ(テーブル等を拭く)目的で使っているということ(同社調べ)。

背景の一つは、清潔志向の広がりにあるようだ。「新型インフルエンザ流行直後の2009年頃から除菌ブームに。ネットの普及もあり、特にお母さん世代は感染症などに過敏に反応するようになっています」と、加藤さん。こうした世相柄、雑菌繁殖を避けられる「使い捨てができるワイプ商品」は、よく売れるようになったそうだ。

もう一つ、共働きの増加で時短ニーズが高まっていることも、売り上げが伸びる一因とみられている。多忙で布巾の消毒がつらいのは筆者だけではないようで、「家に布巾がなく、ティッシュペーパーやキッチンタオルで代用するご家庭が増えている印象」と、加藤さんは話す。

また、興味深いことに、「洗って使えるペーパータオル」は、男性ファンが多いとのこと。同社が2014年に、週に一回以上キッチンタオルを使う首都圏在住の男女に調査を行ったところ、60%以上の男性が同商品を使用しており、特に20代男性が多かったという。「意外でした。一人暮らしの男性のニーズがありそうです」(加藤さん)。

現在、台所周りのペーパータオル市場はパルプ100%のロールが多く、「技術的にはまだマネされる段階にはきていない」(村田さん)とのことで、今のところ明らかな類似商品は存在しないようだ。従来のキッチンタオルに満足していない人や、筆者のように長らく“布巾代用品ジプシー”となっている人は、一度試してみるといいかもしれない。

佐藤 ちひろ ライター・エディター

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さとう ちひろ / Chihiro Sato

インテリア専門商社にて内装デザインや商品開発リサーチ等を担当後、美容系ECサイトや新聞生活情報面の編集に携わる。独立後は企業取材やライフをテーマにした企画を中心に執筆活動を展開。東洋経済オンラインでは「めちゃ売れ!コスパ最強商品はコレだ」「溺愛される商品にはワケがある」など消費財関連の連載執筆を担当。プライベートでは1児の母。

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