「食費の高騰」に負けない、超シンプルな習慣 野菜高騰・エンゲル係数高止まりで考える

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とはいえ、安いものを買うのが悪ではない。筆者が以前、雑誌の企画で食費達人たちにアンケートを取った時、メニューをきっちり決めてから必要な物を買うのと、当日に安いものを買ってメニューを決めるのとの、どちらを実践しているかと質問したところ、やはり当日安いものを買ってからメニューを考える人が多かった。

となると、買い物時に有効な手段は、レジに向かう前に再度カートの中をチェックすることだろう。最初はメニューのアイデアを持たず、安いからとどんどん放り込む。しかし、買い回るうちに徐々にメニューが固まってきて、最初のほうで選んだうち「これはなくても大丈夫」というものが出てくるはずだ。ここで面倒がらずに棚にお戻しすれば、買いすぎも支出も抑えられる。

高い野菜はチョップドサラダ方式で大事にいただく

安いものの買い方はよしとして、では高騰している野菜はどうすればいいか。野菜が高いときのセオリーは、①価格が安定している冷凍食品を使う、②袋入りのカット野菜を選ぶ、③無添加タイプの野菜ジュースを煮込みなどに使う、といったところ。どれも加工品であるため、生鮮食品のように価格が大きく変動することはあまりないからだ。

また、スーパー店頭では、さすがにキャベツや白菜が高すぎて、2分の1個や4分の1個での販売となっているが、それでも十分高い。泣く泣く高価な野菜を買ったときは、ぜひ食べ方に一工夫しよう。題して「とんかつ屋のキャベツ方式」だ。まるで糸のように芸術的に細く千切りされたキャベツは、その小山のような見た目ほど実際には大量でない。細かくカットすればその分ふんわりとして多く見えるのだ。家庭ではあれほどの細さにカットするのは至難の業だが、できるだけ細かく切ることはできる。

少し前にはやったチョップドサラダ風にすればいい。これは、その名のとおり具材を小さくカットして混ぜ合わせたサラダのことで、葉物でも根菜でもOKだ。キャベツ、大根、ニンジン、水菜を千切りやざく切りして合わせただけ、またはおつまみで残ったナッツやレーズン、枝豆をトッピングに加えてもいい。歯ごたえが違うものが入っていると満足度も高くなるからだ。

サラダをあえるドレッシングも買ってくる必要はなく、プレーンヨーグルトに塩を加え、粉チーズ少々を入れて混ぜればシーザーサラダドレッシング風、ポン酢にごま油(あれば豆板醤)を加えて混ぜれば中華風に、しょうゆとオリーブオイル(もしくはサラダ油)に少しのワサビを加えれば和風にと、家にある調味料類で十分それらしいものが作れる。

最後の手段としては、野菜高騰の折には割り切って総菜のサラダを買うという手もある。高騰野菜に払う金額を考えると買ったほうが安いというのが現状だからだ。

コストの安いおかずに悩んだら、激安居酒屋のメニューをヒントにする手もある。300円程度のつまみには、コストをかけないための工夫が潜んでいる。ハムカツに鶏皮の和え物、豚キムチ炒め、イカゲソの唐揚げ、肉豆腐など、安く買える素材をどう魅力的に変身させるかは、外食のプロから盗めばいい。

家庭での食事は嗜好品でもぜいたく品でもなく、家計費4分の1のコストの中で行う日々の営みだ。しかし、その世界は変幻自在で決まりごともない。価格高騰の高波を乗る越える知恵は、私たちの中にある。

松崎 のり子 消費経済ジャーナリスト

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まつざき のりこ / Noriko Matsuzaki

20年以上にわたり『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『マネープラス』などのマネー記事を取材・編集。家電は買ったことがなく(すべて誕生日にプレゼントしてもらう)、食卓はつねに白いものメイン(モヤシ、ちくわなど)。「貯めるのが好きなわけではない、使うのが嫌いなだけ」というモットーも手伝い、5年間で1000万円の貯蓄をラクラク達成。「節約愛好家 激★やす子」のペンネームで節約アイデアも研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』(講談社)、『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。
【消費経済リサーチルーム】

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