ラミレス監督「私が学んだ2人の指導者たち」 開幕のいま語る「人材育成と組織論」
実際の試合となると、データどおりに物事が運ばないことも多くあります。
データに基づくといっても、100%が確約されているわけではありません。確率論では右投手を投入すべき場面でも、その日の傾向から「ここはあえて左だろう」と感じるときがあるのです。
そんなときは、ピッチングコーチに意見を求めます。
「右投手よりも、左投手のほうがいい気がしますね」
コーチのフィーリングと自分のフィーリングが一致すれば、そのときには迷わず自分の感覚を信じて左投手を登板させます。
ただし、9割は、「試合前の準備で頭にたたき込んだ数字に基づき決断する」ことにブレはないのです。
私が理想とする監督像とは?
現役時代の私は「ラミちゃん」というニックネームで親しんでいただき、たくさんの人から声援を受けてきました。おかげさまで、外国人枠を経た選手としては史上初の2000本安打、球界史上最多となる8年連続100打点などを達成しています。
グラウンドでプレーしていた頃の私はパフォーマンスをすることでも知られ、そのため「監督」というイメージとはかけ離れていたかもしれません。しかし、日本滞在が長くなるにつれ、「いつか日本のプロ野球チームの監督を務めたい」という夢を抱くようになりました。
「監督としても球史に名を刻みたい……」
こう思い始めたのは、ジャイアンツでまだプレーしていた頃でした。
「監督になりたい」という具体的な夢ができてからは、私は理想とする「監督像」を思い描くことが多くなりました。そのプロセスの中で浮かび上がってきた監督像が、「ボス」として君臨する姿ではなく、「リーダー」として皆を引っ張っていく姿でした。
一般的にボスというと、厳格であり、時に強圧的な側面も見せるというイメージがあると思います。事実、スポーツチームの監督の中には、自分がトップであり、ボスであると考える人もいます。
ボス型の監督の姿勢としては、「選手を使う」という印象がつきまとうものです。もしくは「選手を叱責する」姿を思い浮かべてもいいでしょう。
このタイプの監督が選手たちと会話を交わす際には、「オレが、オレが」という態度が前面に押し出されるケースが多いのが特徴です。自分こそがチームの司令官であるとの思いが強く、自分は命令を下す立場にあると信じています。
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