ラミレス監督「私が学んだ2人の指導者たち」

開幕のいま語る「人材育成と組織論」

アレックス・ラミレス監督(c)YDB

選手としての学びもありました。メジャー時代からパワーで引っ張る打撃を得意としていた私に、若松監督は「日本の投手は思い切った内角攻めをしてこないから、センターから逆方向に打つことを意識してみるといいよ」とアドバイスしてくれました。

それを受け入れ、ライト方向へ打つようにしたことで、打者として新たな次元に到達することができたのです。まさに2000本安打を達成している大打者ならではのアドバイスであり、その後、日本で10年以上の現役生活を続けられたのも、若松監督率いるスワローズ時代があったからだと思っています。

スワローズから読売ジャイアンツに移籍すると、今度は原辰徳監督の下でプレーをしました。試合に勝つための戦略、点の取り方、チャンスのつくり方という点で、私はリーグ優勝7回、日本一3回の実績を誇る原監督から多くを学んでいます。

残念ながら私は現役時代の原さんを知りませんが、私が知る監督としての原さんは、とてもスマートな人でした。データを非常に重視する監督であり、若松監督同様、選手起用に関しては我慢強いところもありました。

私はこれら2人の監督から多大な影響を受けており、監督となったいま、選手の起用法や采配の仕方などでその影響の片鱗が出てくることがあります。

采配は「データ重視」

私の采配についてお話しします。前述したとおり、私は若松監督と原監督から、監督としての姿勢を学びました。レギュラー選手の起用に対する「我慢強さ」は、若松監督から。そして、「データ主義」については、原監督からその多くを学んでいます。ここでは「データ主義」について、お話ししたいと思います。

私の采配は、事前の準備から組み立てられています。何らかの決断を迫られた場合は、それまでの数字に9割頼って決めるのがラミレス采配です。勘のような直感的なフィーリングに頼るのは、残りの1割にすぎません。

試合前には、選手たちの成績データにすべて目を通し、細かい戦略を練ってから試合に臨みます。相手チームの打者に対する投手の対戦成績や、投手と捕手との相性、組み合わせごとの防御率、さらには球場ごとの数字などもチェックします。

そのため、試合中のベンチワークで動きが止まることはなく、決断の必要があれば迅速に対応できます。そういう意味では、決断は試合前の段階ですべて下されていると言っていいのかもしれません。

ただし、1割は自分の感覚に頼るケースもあります。状況によっては、データに反した采配を振るったりもするのです。

本来であれば、Aという選手を起用するべきなのに、その場の状況でBをグラウンドに送り出す“奇策”も時には必要だと思っています。9割数字に頼るといっても、プランAだけでなくつねにプランBも用意しておくのが大事なのです。

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