広島の圧倒的強さをつくった「チームの結束」 「レジェンド」黒田は日本一で引退できるか

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精神面でもチームを牽引した黒田博樹投手は、今シーズン限りでの引退を表明した(写真:共同通信)

10月18日午後7時から行われたのは、突然の引退会見。広島の黒田博樹は無数のフラッシュを浴びた。

いつから引退を意識していたのか。日米で203勝を挙げたレジェンド(伝説)は、問いに答えた。「2、3年前からずっと。ただ、本当に自分の中で考え出したのは9月すぎです。優勝が決まってから、本格的に自分で考え始めました」。

球団として25年ぶりとなる日本シリーズ。黒田自身、日本一を懸ける初めての戦いの前に、今季限りでの引退を表明したのだ。

「この1球」に懸ける黒田投手の覚悟

「この1球で人生が終わってもいい」

メジャー時代から、黒田が何度も口にしてきたフレーズだ。広島に復帰する時には、引退との狭間で悩んだとも聞く。黒田は「引き際を間違えないために今まで一生懸命やってきた部分もある」とも言った。

黒田自身は「チームに迷惑をかけるかもしれない」と漏らした。が、むしろチームの結束力が高まるのは間違いない。

「ミスター赤ヘル」こと、通算536本塁打を放った山本浩二氏はシーズン中に、こう話していた。「選手個々の力が数年かけて高まってきているのは分かっていた。あとは、全員が同じ方向に心を一つにして戦えるか。その中で、野手の支柱である新井貴浩の2000本安打、投手の支柱である黒田博樹の200勝。この2つの記録は『絶対に先輩たちに達成させるんだ』という思いの下に、チームが一つになるきっかけになった」

黒田と新井――。山本氏は、何かの言葉ではなく、チームの支柱である2人に心を寄せて、一致団結したからこそ、ブレない結束力が生まれたと分析する。今回の黒田の引退発表があっても、「硬さが出てしまう心配など無用だ」とみる。

そもそも、今年の広島の強さは、どこから来ているのか。もちろん、チームが「一枚岩」となったことだけが理由ではない。

DeNAを球団初のクライマックスシリーズ(CS)進出に導いたアレックス・ラミレス監督は、CS期間中に「(開幕前から)今年は広島が最も手強い相手になると考えていた」と明かした。若手が力を付けているのに加えて、チームを支えるベテランもいて、バランスが取れている。エースだった前田健太がドジャースへ移籍していても、戦力的にはトップだと、ライバルチームの将も開幕前から認めていたのだ。

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