カープ新井が独白!「元職場」で生きる覚悟

2000本安打を達成した39歳の熱い思い

4月26日、新井貴浩選手は古巣・広島カープで2000本安打を達成した(写真:日刊スポーツ、4月24日マツダスタジアムでの阪神戦で左前適時打を放ったところ)
4月26日夜、広島カープの新井貴浩選手がヤクルト戦(神宮球場)で、プロ通算2000本安打を達成した。新井選手といえば、2015年に阪神タイガースから古巣の広島カープに帰ってきた「出戻り組」。FAは選手の権利とはいえ、一度は自ら飛び出した球団に再び戻ることは、過去に例が少ない。ファン心理の面からも大きな壁があり、当然ながら、新井選手本人にも知られざる葛藤があったという。
新刊『赤い心には、カープへの復帰から2015年シーズンの激闘の軌跡、今シーズンへの意気込み、カープへの愛が綴られている。一度は離れた元の職場に戻って活躍する新井選手に心境を語ってもらった。

39歳、生涯で一番緊張した打席

「これはまずい……。引退試合じゃないんだぞ」

ネクストバッターズサークルから、ずっと足が、ガクガクと震えっぱなし。バッターボックスに入っても、その震えはしばらく止まらなかった。
2015年のプロ野球開幕戦。8年ぶりに復帰した広島東洋カープでの最初の打席は、7回、前田健太の代打だった。プロに入って17年、それなりに大きな舞台も経験してきたつもりだが、生涯で一番緊張した打席、そしてもっとも忘れられない打席になった。

代打に備えて、ベンチ裏で素振りをしていた時から、胸の鼓動が尋常ではなく高鳴っているのを感じていた。

「本当に応援してもらえるのだろうか?」

キャンプやオープン戦では、ファンの人たちからは温かい声援をもらっていた。それでも阪神タイガースに移籍した2008年、旧広島市民球場での最初の打席で受けたブーイングは、今でも鮮明に記憶に残っている。それはある意味トラウマのようになっていた。またあんな状態になってしまうのではないか、そんなことを考えて、すごくドキドキしながら、素振りをしていた。

そしてその時がやってきた。ベンチから「新井、行くぞ」と声がかかった。

「来た!」

ベンチ裏から階段を上がり、グラウンドに出た。

その瞬間、球場全体から「ウォー」という、ものすごい歓声が起こった。ブーイングではない、正真正銘の歓声だ。「アライー」と、名前を呼ぶ声も聞こえる。「ウソだろう?」と思いながらネクストに立つと、全身に鳥肌が立ってくるのがわかった。足が震え、思わず泣きそうになってしまったほどだった。

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