コインチェック、「NEM」返金でも不透明な前途

馴れ合いの経営陣は抜本的刷新が不可欠に

2度目は3月8日、経営体制の抜本的な見直しなどや3月22日までに業務改善計画の書面提出を求めた。このほか、業務改善計画の実施完了までの間、1カ月ごとの進捗や実施状況の報告も求めた。

立て続けに2度も行政処分を受けたのは、金融庁が1度目の業務改善報告や立ち入り検査により業務運営状況を確認したところ、コインチェックがマネー・ロンダリングなどのリスクに応じた内部管理体制や監査体制が不十分だったと判明したことが原因だった。

ネム保有者への補償、2度目の行政処分への対応というみそぎを済ませ、コインチェックは復活への道をたどれるのか。ことはそう簡単に運びそうもない。

最大の懸念は、失ったユーザーの信頼回復だ。コインチェックの月間取引高は2017年12月時点で約3.8兆円あったことが明らかになっている。現物取引(自己資金による取引)ベースでは国内首位だったが、各取引所のデータをまとめた「Bitcoin日本語情報サイト」によれば、現在コインチェックの取扱高は5位に後退している。

13種類という取り扱い通貨の豊富さを売りにする中でビットコイン以外の売買がいまだにできない状況のため当然といえば当然だが、残りの仮想通貨の売買機能が再開されても順位を取り戻せるかは未知数だ。

実際、複数の取引所関係者は「コインチェックの流出事故があって以降、自社の顧客は順調に増えている。恐らくコインチェックからの流入だ」と語る。一度他社に逃げたユーザーを呼び戻すことは容易ではない。

年央からはSBIホールディングスやサイバーエージェントといった大手も取引所ビジネスに参入してくる。これまではベンチャー同士の戦いだから優位に立てた面もあっただけに、首位に返り咲くハードルは以前よりも高くなっている。

「消費者や金融庁をバカにしている」

もう1つの懸念は、経営陣のガバナンスだ。2度目の行政処分を受けた3月8日の会見に登壇した和田晃一良社長、大塚雄介取締役COO(最高執行責任者)は自分たちの進退について明言を避けた。

2度目の行政処分では監査役の佐俣安理氏が役割を果たしていないことにも触れられていたが、佐俣氏が交代するのかどうかは明らかにしなかった。佐俣氏はコインチェックに創業初期から出資するベンチャーキャピタル、ANRI(あんり)の代表でもある。

和田社長は仮想通貨の値上がりを盛んにツイッターで投稿しており、これに眉をひそめる関係者もいた(写真:和田社長のツイッター)

このほかシステムリスク管理態勢を強化するため、業務部門から独立した内部管理部門において、新たに金融機関出身者を最高システムセキュリティ責任者(CISO)に選任するとも発表したが、この人物が誰なのかもわからないままだった。

「まるでお遊びごっこだ。消費者や金融庁をバカにしているとしか思えない」と、ある仮想通貨取引所の幹部はコインチェックの経営体制について憤りをあらわにする。

仮想通貨の取引価格が上昇局面にあった昨年後半、和田社長や大塚COOはその日急上昇した仮想通貨について、「XXX円突破!」や「すごい」といった内容をSNSに投稿していた。

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