仮想通貨で儲けた「億り人」が味わう納税地獄 課税逃れをすれば最悪は逮捕の可能性も
一般人だけでなく、芸人、サッカー選手、ブロガーなど、多くの人が熱狂した仮想通貨市場。たった1年で500倍以上も高騰したものもあり、投資家の中には1億円以上の利益を得た「億り人」がたくさん誕生した。だが、各国の規制強化や仮想通貨取引所コインチェックでのNEM盗難騒動をきっかけに、年末年始の最高値から一転大暴落を演じた。
無申告の場合、あとから20〜40%の「罰則」も
昨年末の急騰相場にイナゴのごとく飛び乗り、さらなる上値を追って「ガチホ」(長期保有)した投資家の中には、元手を溶かしただけでなく、借金を負った人もいる。一方で、最高値付近で利益確定し、首尾よく暴落相場を逃れた層も存在する。人もうらやむ億り人だが、手放しで喜べない現実が、これから襲いかかる。
「税金はどうなるんですか?」
現在は確定申告期間の真っただ中だが、仮想通貨で億り人となった投資家からこうした問い合わせが増えているという。
昨年12月、国税庁は仮想通貨の売却益は「雑所得(総合課税)」に区分するという見解を示した。そのため、原則として20万円以上の売却益を得た投資家は、確定申告が必要となる。仮想通貨は金融商品ではないため、税率は累進課税で所得税(4000万円超の利益で45%)と住民税(一律10%)を合わせて、最高55%が課せられる。また、株式のように証券会社が損益を通算してくれる「特定口座」や、確定申告が不要な「源泉徴収制度」支払調書の制度などが整備されていないことが、投資家の混乱を招いている。
まだ新しい領域のため、大儲けをした投資家の中には、課税逃れをもくろむ人までいるという。はたして、彼らは「逃げ切れる」のだろうか。富裕層向けコンサルティングを得意とする税理士法人エスネットワークス常務理事の井上浩さんはこう解説する。「国税当局は時間をかけてでも捕捉してくるので、課税逃れはできないでしょう。たとえば、ビットコインで1億円の利益が出た場合、所得税、住民税合わせて最高約55%で課税され、一定の調整が入り約5000万円を納税することになります」。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら