確かに鉄道を熱く語る声は聞こえてこない。店内はゆったりとした空気が漂い、居心地がいい。
一人で来ていた男性にも話を聞いた。「キハ」には10年ほど通っているという、常連客の“やきめしさん”だ。
「妻から紹介されて来たのがきっかけ。今では週2回、必ず来ているよ。僕は乗り鉄なんだけど、『キハ』に通う常連さんと会うのが楽しくて。電車好きが集まるサークルのようなノリですね」。聞くところによると、週末はみんなで「電車でGO!」などのゲーム大会を開催することもあるそうだ。
「“乗り鉄”とか“撮り鉄”とか“音鉄”とか、鉄道ファンにはいろいろな宗派があるんだけど、ここではそれぞれが主張しあうことは一切ない。輪を乱すことなく、いい感じのコミュニケーションができていると思うよ。だから仲間もできるし、リピーターも多いんだ」
缶詰は常時30~40種類!
もちろん、鉄道談議に花を咲かせている人もいるし、ときには本物の車掌さんが車両アナウンスをしてくれることもあるのだとか。「新規のお客さんが来たとき、助役が忙しいときは、常連さんが店の料金システムを代わりに説明したりしているよ。そのまま一緒に飲むこともあるしね」と、やきめしさんは教えてくれる。
風景やコンセプトは変われど、常連さんがマスターやママをサポートする姿はどの店も同じである。その背景には、スナック特有のお店に対する“愛情”がある
缶詰は、常時30~40種類ほど用意されている。スタンダードなものが中心だ。そのまま食べることもできるが、ひと手間加えたオリジナルメニューもある。コンビーフをまるごと揚げた「婚カツ」や「助役の唐揚げ」が人気とのこと。
われわれは定番の「塩味焼き鳥」をいただいた。盛り付けられた皿は、寝台列車「北斗星」の食堂車両で使われていたものだそうだ。細部にまでこだわりが感じられる。料金システムについても聞いてみた。
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