時節柄、有名校に入れなかった子息を罵倒したり、授業料は払わないと怒る親との接し方に悩む学生さんからのご相談が何通か来ています。これらの親御さんたちは、子どもは有名校に入ればかわいくて、そうでなければどうでもいい子なのでしょうか。子どもが逆境にあったり首尾よくいかなかったときにこそ励ますのが、親の役割ではないでしょうか。
私の友人のお子さんも昔、第一志望中学校に入れませんでした。第二志望校の2次試験は近隣県から、たまたま運か体調悪く第一志望校に入れなかった優秀な子が集まり、1000人中数十名しか入れない狭き門です。友人は確実視していた第一志望校の不合格がショックで寝込んだのに、子どもは不合格を知ったその日から、1週間後の受験勉強を再開したそうです。
4日目、半分はふて寝だった母親の目に、ずっと二人三脚で勉強してきた“どんぐり”の息子の、一人で勉強している背中が見えました。第二志望校は門が狭すぎるので期待もしていなかった母親でしたが、その背中の小ささに、敵前逃亡し味方も裏切っている自分の卑怯さに気づいたそうです。母親を信じて付いてきた子を、関ヶ原を前に一人で放り出しています。
親のエゴ丸出しの態度
母親が何げなく子どもを覗くと、これまで見たことがないその学校特有の数学の統計問題に引っ掛かっていたそうです。“どんぐり”一人では到底解けないその問題を見て母親の目が覚めました。その克服に残りの日を費やしたそうです。その応用が本番の1番か2番に出たときは、あちこちですすり泣きが聞こえたとか。初めて見る子には手も足も出ない問題で、その動揺が後の問題にも響く出題順だったそうです。
受験に協力するとは、子どもによってはここまでするべきだというエピソードですが、さてその友人は、たった3日間の「半分ふて寝」で、今も胸を痛めています。100%信じて付いてきた母親のふて寝を、子どもが一人で格闘しながらどのように見ていたかと思うと、20年後の今もかわいそうで恥ずかしくて胸うずくそうです。この親のエゴ丸出しの態度が長引いて、それが裏目に出る場合を考えれば、恐ろしくてそんな態度はとれないはずです。
お嬢様はいつまでも今のように母親に従順とは限りません。子どもの進路をめぐって親子断絶や事件が少なくないことも考えてください。子どもが不調なときこそ子どもを信じ、励ますことができる親であるべきです。これが2点目です。
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