バイト採用に苦戦する会社の大いなる勘違い 「正社員登用あり」と連呼してもムダだ

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確かに正社員になることはメリットがあります。収入面の安定や社会保険の充実に加えて、社会的信用の獲得になります。そこで非正規社員は正社員になりたいものだと多くの会社が考えていました。日本経済は長く不況にあえぐ時期が続き、正社員になりたくてもなれない人がたくさん出ました。そして、非正規社員になると正社員になることが困難な時代が何年も続いてきました。

ところが、状況が変わりつつあります。その前提となるのが時給の急上昇。以前の記事でも書きましたが、勤務時間の柔軟さに加えて、仕事に対する責任の度合いや上昇傾向の時給などを勘案して「非正規社員のままでも十分に幸せ」と考える人が増えつつあります。

さらに非正規雇用について、2018年に実施される労働契約法18条の「5年ルール」が正社員登用の道を広げつつあります。5年ルールとは有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合は、有期契約労働者が期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されること。あえて正社員への道を明示しなくても同じ職場で長く働けば自動的に長期安定雇用が実現できるようになるのです。

「正社員登用あり」は魅力的ではなくなった

もはや「正社員登用あり」は採用の際の魅力あるキャッチとはなりえず、非正規社員のままで仕事をすることに、(正社員とは違った)魅力を打ち出す努力が必要になってきたのではないでしょうか?

たとえば、当たり前ですが、自由度が高いということ。勉強やかなえたい夢のために時間を使いたい、持病がありフルタイムで働くことが難しいといった人にとっては、比較的短時間の勤務ができる非正規社員は魅力的なシステムでしょう。また、雇用契約の時点で、職務の内容が決められていることがほとんど。そのため、業務内容が契約と違っていれば拒否できます。自分に合った職務内容であるかどうかを事前に確認できるというのも、非正規社員のメリットでしょう。

でも、これだけならどの職場でも同じです。独自の魅力を考えることに知恵を絞りたいものです。たとえば、アルバイト・パートだけに行う研修プログラムやインセンティブ制度。正社員より優遇されるくらいの仕組みを構築する発想をもたないと応募者は増えないのではないでしょうか?「正社員になれる」ではなく、アルバイト・パートで働くことが魅力的に感じるメッセージを会社は考えていく覚悟を求められる時代になったのです。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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