スマホ中毒から脱するにはどうしたらいいか アップルも真剣に考え始めた?
そして、私たちはどうすべきなのだろう。
テクノロジー依存症は、大気汚染や煩わしいオンライン広告のように、関係者の入り組んだ動機によって生じた問題だ。あなたの関心を引き付けておカネを稼ぐ企業、つまりフェイスブックやインスタグラム、スナップチャットなど、広告収入に支えられている企業は、あなたをもっと自分たちのサービスのとりこにしようと、スーパーコンピューターを扱う従業員を大勢雇っている。
もちろん、それらの企業に対しては、もっと倫理的に行動するよう求めなければならない。一方のフェイスブックも、ユーザーの健康や幸福感を向上させるためなら、収益を減らしても構わないと言う。しかし、彼らが本当に利益を抑えることができるのかは疑わしい。
政府の規制やユーザーによる自制も、多少の力にはなるかもしれない。だが、前者は実現する可能性が低く、後者は不十分だ。では、ほかに誰がいるのか。
新たな技術の時代に入ろうとする時、いつも同じ会社が登場するように思う。それはアップルだ。
今年1月、アップルの大株主2社が公開書簡で、同社製品の子どもへの影響についてもっと対策を取るようアップルに求め、私はこれをきっかけにアップルの責任について考えた。最初は、この公開書簡も売名行為のようなものだと思った――もし子どもとテクノロジーの関係について心配するなら、フェイスブックの責任を追及するべきではないか。
だが、何人もの専門家と話してみると、彼らも前述の株主と同意見だった。彼らによると、デジタル広告ビジネスの行き過ぎに関しては、もちろんアップルに責任はない。だが、アップルには顧客の幸福についての道義的責任があるし、事業的な利益も絡んでくる。
アップルは広告で稼がない
そしてもう1つ、アップルがテクノロジー依存症に取り組むべき大きな理由がある。それは、同社ならこの問題を見事に解決できる可能性がある、ということだ。
「いまこそ、アップルが関与すべき時だと思う」とトリスタン・ハリスは言う。ハリスはグーグルでデザインや倫理に携わり、現在はテクノロジーの社会への影響を改善することを目指す、タイム・ウェル・スペントという組織を運営している。彼は「実際のところ、アップルにしかできないかもしれない」と話す。