記者クラブ制度が映すジャーナリズムの難題 検証不足、横一線を続ける先に何があるのか

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かつて某省庁の記者クラブに属したことがある経済誌の記者は「取材内容を互いに共有するメモ合わせの習慣があった」と話す。これは現在も続いているとされる。記者クラブがカバーする領域のスクープ情報がわかっていても、あえて加盟他社に配慮してどのメディアも先に報じないというケースもある。記者クラブのメンバーの多くは、ジャーナリズムに携わる人間である以前に、メディアの特権を守ることを最優先しているように見える。

記者クラブ制度を改善、もしくは廃止しようという動きは、これまでにも数多くあったことは事実だ。2001年5月には長野県の田中康夫県知事が「脱・記者クラブ宣言」を発表し、2006年には北海道が「道政記者クラブ」に対して記者クラブの水道光熱費など250万円の支払いを求めたことがニュースになった。

記者クラブ制度は、業界団体や経団連といった経済団体でも健在だ。かつて個別企業の中にあった記者クラブは今はなくなっている。

記者クラブ内には、国民が知らない秘密が数多く存在しているとみられる。かといって、メディアは記者クラブ制度を廃止するつもりもなければ、いまの仕組みを改革しようという気もないだろう。記者クラブが今後も存続するという前提で、ニュースをどのように読んだらいいだろうか。いくつかポイントをピックアップしてみよう。

ニュースを読むポイント

①記者クラブ発のスクープを鵜呑みにしない

判断は難しいが、政権に近いメディアからのスクープは鵜呑みにせず、その背景を分析した記事を探してチェックすることが大切だ。

②記者クラブに加盟していない海外メディアや雑誌の報道もチェックする

記者クラブに加盟していない外国通信社や週刊誌などがどんな伝え方をしているのかを見るといいだろう。別の視点でチェックすることが大切だ。

③事件報道が多いときは、裏に何かがあるかも

NHKニュースにせよ、民法のニュースにせよ、日本の場合は殺人とか交通事故といった警察の記者クラブからの発表報道が多い。その背景には、警察の記者クラブに配置されている人員が多いためと指摘されているが、大きなニュースがないときにはこうした警察発表の事件報道が多くなる。しかし、その一方で大きなニュースを隠すために使われる場合もあるといわれる。

④記者クラブのない役所・団体の情報もチェックする

国民の生活に密着した役所や団体にも直結した記者クラブがない場合がある。そうした情報などもある程度把握しないと、情報を発信されないために重要な法案の通過などが見落とされるかもしれない。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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