──子宮頸がんワクチンの安全性は国際的に賛否両論あるのですか。
十分なデータが出そろい、科学的には安全で有効性が高いという結論が出ている。結論が出ていないのは科学以外の部分。それはこの本を読んでいただければわかる。今まで、子宮頸がんワクチンに関する本は、被害を訴える人たちのドキュメントばかりで、それが真実だといわれてきた。この本では別のパラダイムを提示できたと思っている。
日本の政府、メディア、アカデミアは何をしているのか
──今回の受賞(17年11月30日付)も心強い?
本と同名のスピーチ「10万個の子宮」にもあるとおり、受賞がなければこの本は出せなかっただろう。この受賞は海外から日本への強烈な批判だとも思う。海外メディアは私の受賞を、日本の政府、メディア、アカデミアは何をしているのかと報じた。
──マスメディアに失望していませんか。
同じ『ネイチャー』関連の報道でも、STAP細胞のときの騒ぎを思い出すと、もう少しサポートしてくれてもいいのかなと思うところはある。
世論形成のパターンも変わってきているのかもしれない。昔は新聞が真実を追求しながら世論を作っていったが、今では反証のエビデンスがそろっていると気づいても論調を変えなくなった。たとえば、私を訴えた元教授の研究の調査で不正がないとされたときも、あれは不正ではないのかと、きちんと追及する能力はあったと思う。
──ワクチン接種はどうなりそうですか。
科学的には差し控えるべき理由がないから、何を再開のきっかけとするつもりなのかもよくわからない。WHOから繰り返し名指しで批判されても、私が受賞しても、再開の兆しはなかった。国賠訴訟の原告は250人を超える。集団訴訟といっても個別の事例で争うから、10年でも終わらないという見方もある。国賠訴訟と切り離して政策を決断できる政治家が出るのか、注目したい。
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