マンションはどこまで下がる--値下げも不発、連鎖破綻の幕開け


 「モデルルーム来場者にガソリン代を支給」「全員にクオカード2000円分プレゼント」--。土日・祝日が訪れるたびに、首都圏のあちこちでマンション販売会社が競って集客合戦を繰り広げている。

昨年後半からマンションのモデルルームで見られ始めた「ひと声で100万円単位の値引き」は今や当たり前。だが、そもそもモデルルームに足を運ぶ客自体が減ってしまった。そこで販社は客集めに知恵を絞り、冒頭に紹介したような金品の配布も増えている。もっとも、「売れてないと宣言しているようなもので、かえって逆効果。エンドユーザーの足はさらに遠のくだけ」(不動産リサーチ会社オイコスの大森広司代表)。

超郊外に駅遠 立地が悪いと売れない

マンションの売れ行き不振は目も当てられない。9月16日に不動産経済研究所が発表した首都圏の8月のマンション販売戸数は前年同月比38%減という落ち込みぶりだった。特に埼玉・千葉は同7割減と壊滅状態である。

 マンション人気の度合いを示す指標である初月契約率の推移(右図)に凋落ぶりがはっきり表れている。マンション販売が好調だった2006~07年の同月と比較すると10ポイント以上の下落である。この指標は70%を超えれば好調とされるが、昨年12月から今年1月にかけて1992年10月以来15年ぶりという50%台に落ち込んでしまった。その後も一進一退の状態が続く。つい最近発表された8月の契約率は70・9%。一見回復したように見えるが、「ある物件で極端な値引きがあったと聞いている」(業界関係者)と、業界では歓迎している様子もない。

むろん、すべての物件が売れていないわけではなく、「ステーションスイート新川崎」「パークコート赤坂ザ・タワー」など即日完売する物件も少なくない。だが、人気物件に共通するのは、「都心」「駅近」といった立地のよさ。都心まで1時間近くかかる「超郊外」や徒歩10分以上の「駅遠」物件の売れ行きがパタリと止まっているのだ。なぜ売れないのか。理由ははっきりしている。価格が高すぎるからだ。

下の図を見ると、東京23区では平均価格と平均面積の推移を示す線が06年から07年にかけて垂直に上昇している。これは間取りが変わらないまま、物件価格だけが上昇したことを示す文字どおりの「値上げ」だ。さらに08年の前半には平均面積は小さくなったにもかかわらず物件価格は上昇するという逆転現象まで起きてしまった。


 平均価格が6000万円を超えるというのはこれまたバブル期以来の異常事態。一般的には無理なく買える住宅は年収の5倍までといわれているが、東京都の勤労世帯年収689万円で比較すると、年収倍率は8・9倍となる(下図)。もはや23区のマンションは普通のサラリーマンの手に届かない価格になってしまった。これでは売れ行きが止まるのも当たり前。買える値段まで下げなければ売れるはずがない。

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