中野:草食投資隊を結成して、2018年は8年目。3人で日本全国行脚して、「10年目線の投資の重要性」「投機ではない資産形成の大切さ」を広めようと活動してきましたけど、それでもまだ世の中には、われわれの理念が浸透していないわけですよ。
ところが、仮想通貨はあっという間に広まりました。これって、どういうことなのでしょうか。結局、金融や投資って、人間の射幸心を煽ることでしか一般化しないのでしょうか。でも、それでは正しい「金融リテラシー(知識と判断力)」は普及しません。正直なところを言いますと、ビットコインのような仮想通貨は、私たち長期投資家にとって、敵でしかないと考えています。
「アマゾン経済圏」はできるのか
渋澤:仮想通貨は今後、いかに信用力を得ていくのかがポイントになるのでしょうね。
藤野:私は、カギはアマゾンだと思います。世界最高の技術力と、世界最大のサーバーを持っていて、かつ物流も押さえている。アマゾンコインが本格的に登場することによって、初めて仮想通貨は強大な信用を得て、普及していくのだと思います。
渋澤:世界のどこででも使える共通通貨になれば、興味深い。
中野:でも、なかなかアマゾンが仮想通貨に本格的に参入するって発表しませんね。
渋澤:ほかの仮想通貨の値動きが激しすぎるから、現時点では純粋な決済通貨にならないと判断しているのかもしれませんね。世の投機家は、ボラティリティが高いことに仮想通貨の魅力を感じているのだと思いますが、値動きがほとんどない仮想通貨が誕生すれば、世界中のどこででも決済に使える、世界共通通貨という別の魅力が生まれてくるのではないでしょうか。銀行で送金したり、ATM(現金自動預け払い機)の時間外引出を利用したりすると、結構な額の手数料が取られますが、仮想通貨は取引コストが割安だから、マイクロペイメントにも対応できると言われていますよね。
藤野:ただ、最近は逆に送金手数料を引き上げる取引所もあったりするので、仮想通貨の取引コストが安いというのも、少し眉につばをして見ておく必要がありそうです。
中野:仮想通貨が法定通貨に取って代わるかという点については、まだ議論が必要でしょうね。仮想通貨って、中央銀行が介在しない世界じゃないですか。そうなると「各国の中央銀行が握っている通貨発行権はどうなるのか」「通貨の流通量をきちんと把握できるのか」、といった問題が浮上してきますし、実際に議論もされています。このあたりは、また日を改めてみなさんにお伝えしたいですね。
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